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高橋幸治のデジタルカルチャー斜め読み 第23回

「クラウドファンディング成立低くていい」運営語る地方創生

2016年05月19日 09時00分更新

文● 高橋幸治、編集●ASCII.jp

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消滅しかねない地方都市で注目集めるクラウドファンディング

 確かに私たちの住む世界はある意味ではインターネットのおかげでフラットになった。デジタルテクノロジーが支配する世界では生産された製品はデータであることが多いから、通信手段は同時に輸送手段でもあり、海外の人々や企業との協調作業も容易になった。

 しかし、フラットな世界は同時に富める人々や富める地域だけをさらに裕福にするだけで、誰もがグローバリゼーションの恩恵を受けて新しい経済の競争の舞台に立てるわけではないということも明らかにした。

 先述した東京への人口の一極集中はすなわち国内の地方の衰退を意味するわけで、我が国全体が人口減少段階に入ったいま、確固たる産業基盤を持たない地方都市は存亡の危機に直面している。2011年の東日本大震災直後に発足した「日本創成会議」が2014年に発表して話題を呼んだ、“若年女性の流出により2040年までに国内の896市町村が消滅するかもしれない”というショッキングな数字は、あながち誇張や杞憂とは断定できないだろう。

「日本創成会議」が2014年に発表したレポート。今から26年後の2040年には、国内の896の市区町村が「消滅都市」に該当しているであろうと予測するショッキングな内容

 こうした地方の深刻な問題に対するデジタル時代ならでは取り組みとして注目されているのが、地域に特化したユニークなアイデアを支援するクラウドファンディングである。

 2012年にサービスを開始したサーチフィールドの運営による「FAAVO」に続いて、今年3月にはCAMPFIREが従来からのクラウドファンディング事業に「CAMPFIRE×LOCAL」を追加。

 東京に拠点を置く企業が単に他県に支社を置いて雇用を促進するといった類の地域活性ではなく、各都道府県に住む人々がその地域性を生かした企画を立ち上げ、インターネット経由で共同出資者を募るという、まさに個人の物語や地域の物語をベースにした共感経済が加速の兆しを見せているのである。

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