日本はゴールデンウィークが明けました。米国は平常通りの運転が続いております。
5月8日は母の日ということで、バークレーの街中でも昼間から花を買い求める男性の姿や、家族でランチやディナーを楽しむ様子が見られました。5月は、特に大学の卒業シーズンも重なり、とにかくレストランの予約が取りにくいのです。
エルニーニョは終息を迎えつつあるようで、かわってラニーニャへ、という変動の最中だそうですが、北カリフォルニアは週に2日は雨に見舞われる、そんなサイクルがあります。これが、週末にかけて雨が降るのでタチが悪いですね。そんな昨今ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
さて、バークレーの月曜日。朝メールボックスを開けてみると、Apple Musicから、「Radioheadの新譜が届いたよ」というメールが来ていました。早速iPhoneの「ミュージック」アプリを開いて、聴き始めることにしました。
落ち着いた雰囲気の中で、興味を引くマイナー調のトーンや、楽器の音色の美しさを楽しむことができる、なんというか、ゆっくりと月曜日を始めるにはぴったりのアルバムでした。
音楽定額サービスのメリットと、それを享受する人々
筆者はRadioheadのアルバムを購入せず、Apple Musicの定額サービスの中で聞くことができました。しかも、画面で「+」ボタンを押せば自分の音楽ライブラリに入り、契約中はいつでもダウンロードして楽しむこともできます。
筆者は、音楽は仕事のお供にと考えて購入していた方です。しかしApple Musicを使い始めてからは購入を一切しなくなりました。聴く音楽のバリエーションは広がり、より様々なジャンルやアーティストに触れるようになりました。自由に聞けるサービスを謳歌しているというべきでしょう。
定額サービスは、所有しなくても自由に楽しめる点がメリットで、“元を取る”という言い方は良くないかもしれませんが、毎月1000円のサービス使用料金は、平日に毎日違うアルバムを購入して聞くと考えれば、おそらく2万円以上は音楽代の節約になったように感じます。
この定額制のサービスの多くに共通しているのは、お金を払っていた層にとっては大幅な値下げになるということです。日本でも導入された、ケータイの通話無制限プランについても同じことが言えます。
これまでケータイの通話料金に毎月2万円払っていた人が、2700円の定額になれば、大きな値下げになります。しかし、それまで通話を控えて、メールやLINEで済ませてきた、極力ケータイ料金を抑えたい人にとっては、単なる値上げでしかありません。
同じように、今まで音楽を買っていなかった層にとっては、音楽の定額サービスは、1000円近くの余計な出費が増えるだけ、という見方をされてしまうでしょう。
そこでAppleは米国や英国などの国々で、学生向けに半額でApple Musicを利用できるようにしました。その反応が今後どうなるのか、注目したいと思います。また、日本でも、ぜひ導入してほしいですね。
定額音楽サービスが“サービス化”してほしい
音楽の自由さが魅力の音楽定額サービスで、もう少し異なる体験ができるようになると面白いと常々考えています。
Apple Musicは現在、基本的にはiPhoneやiPadのミュージックアプリ、AndroidのApple Musicアプリ、そしてiTunesからのみ、利用できます。
たとえば、Apple Musicの音楽のリンクを友人に送った際、その友人がApple Musicの会員であれば、すぐに聞くことができます。楽曲のファイルのやり取りもなく、また権利関係のやりとりもなく、その友人はタップすればすぐに音楽を聴けるわけです。
こうした環境を拡張していくと、こんなことができるのではないでしょうか。
リズム系のゲームアプリで、Apple Musicの会員は、お気に入りの楽曲でステージが遊べたらどうでしょう。普通のステージはゲームにあらかじめ収録されている楽曲しかありませんが、Apple Music会員は、有名曲専用のステージが遊べる仕組み。
ゲーム開発者は、その曲に合わせた楽譜だけ用意すればよく、ゲーム内では単に楽譜と音楽が同時に流れるだけで良いはず。リズムゲームでなくても単にゲームのBGMに好きな音楽が選べる、でも良いのですが。
あるいは、Podcastを制作している人は、Apple Musicで配信されている音楽を紹介する番組が作れるようになるでしょう。
トーク部分は自分の声を録音しておいて、PodcastでApple Musicの楽曲を指定しておくだけで、リスナー側では自動的に、トーク→楽曲→楽曲→トークみたいな番組が楽しめる。もしApple Music非会員であれば、30秒程度のサンプルしか流れない、でも良いかもしれません。
個人的には、とりあえず自作のリズム+α程度のBGMとトークだけのPodcastに、もう少し華やかさがほしいところなのですが。
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