このページの本文へ

連載:今週の「ざっくり知っておきたいIT業界データ」

IT市場トレンドやユーザー動向を「3行まとめ」で理解する 4月25日~5月10日分

IoT推進体制を整えた国内企業はまだ1割、世界のフィンテック投資、ほか

2016年05月10日 06時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 本連載「ざっくり知っておきたいIT業界データ」では、調査会社などが先週1週間に発表したIT市場予測やユーザー動向などのデータを、それぞれ3行にまとめてお伝えしています。

■IoTの推進体制ができた国内企業はまだ1割(4/26、ガートナー ジャパン)
・「IoTの専門部署/グループができた」国内企業は10.1%(昨年比+1.6%pt)
・昨年は「準備中(1年以内に実施)」が16.7%だったが、大半は実現見送り
・意識調査では「いまだにどこから手を付けてよいか分からない」も4割弱

 従業員500名以上の国内企業を対象に調査。具体的なIoT推進体制をすでに整えた企業は昨年比で微増だが、勢いはややゆっくりに。IoT戦略について、ガートナーは「現場からのボトムアップに期待するだけではなく、経営者自らがビジネス・インパクトを研究/リードすべき重要なテーマ」と提言。

昨年は16.7%の企業がIoT推進体制を準備中と答えていたが、その計画どおり実現した企業は少なかった

■消費者の73%は「デジタルではなく人間の」接客を求める(4/27、アクセンチュア)
・顧客窓口でデジタルではなく人間による対応を求める消費者は世界平均73%
・57%は「実店舗こそが自分のニーズに合った顧客体験が得られるチャネル」と回答
・デジタルチャネル偏重でサービスの「人間味」が薄れると顧客離反につながると警告

 34カ国、約2.5万人の消費者を対象とした、企業のマーケティング活動や顧客サービスに関する調査。先進的な小売、銀行、さまざまなサービス企業では、顧客接点としてデジタルチャネルへの集中投資を進めてきたが、その戦略に再考を促す内容。

ちなみに日本だけの結果を見ると、世界平均(73%)よりも接客に「人間味」を求める割合が低く61%だった(出典:アクセンチュア)

■国内UC&コラボレーション市場(4/27、IDC Japan)
・2015年の国内UC&C市場は音声インフラの更新需要が継続、前年比+4.9%
・2016年は+1.4%に成長鈍化、需要一巡と低価格ビデオ会議システムへのシフト
・2015~2020年の年平均成長率は+2.3%と予測

 国内のユニファイドコミュニケーション(UC)&コラボレーション市場予測。2015年は電子メールやファイル共有などのクラウドサービスが著しく成長。今後もクラウド化の動きは続き、UC&Cサービス間の連携が重要な要素になる。

2014~2020年の国内UC&C市場売上額/前年比成長率予測

■世界フィンテック投資、欧州とアジアが前年同期比2倍に(4/27、アクセンチュア)
・世界のフィンテック投資額、2015年は前年比+75%の約223億ドル
・地域別では欧州が前年比2倍以上。アジアは中国/インドが牽引し4倍以上に
・世界で大規模投資案件が増加、5000万ドル(約55億円)超の案件は94件

 既存の金融機関と競合する「破壊型フィンテック企業」と、金融機関をサービス提供先とする「共生型フィンテック企業」の割合も調査している。先行する北米では60%が共生型なのに対し、アジア太平洋地域では84%が破壊型と、地域によってその構成比率は大きく異なる。

フィンテック分野への投資活動(2010~2015年)。北米が先行してきたが、欧州とアジアでも大きく投資が伸びつつある

■ソフトウェア等の脆弱性届け出件数、2016年1~3月期(4/27、JPCERT/CC)
・同四半期の脆弱性届け出件数は、ソフトウェア100件、Webサイト85件
・同四半期の脆弱性修正完了件数は、ソフトウェア34件、Webサイト98件
・1就業日あたりの届出件数は平均4.17件

 IPAとJPCERT/CCに報告された脆弱性についての四半期レポート。件数云々よりも、使用しているソフトウェア等の脆弱性が報告されていないか、定期的にチェックするよう心がけたい。

同四半期にJVN(脆弱性対策情報データベース)で公表された深刻度の高い脆弱性(出典:JPCERT/CC)

カテゴリートップへ

この連載の記事
  • 角川アスキー総合研究所
  • アスキーカード