「ボーイング787型用エンジン整備士訓練用ツール」
一方、「ボーイング787型用エンジン整備士訓練用ツール」は、整備士の養成訓練において、エンジンそのものの構造や部品名称、システム構造などを、いつでもどこでも、よりリアルに体感・学習できるようになるアプリだ。
エンジンについて学習する場合には、教科書の平面図を使って学ぶことになる。また、エンジンの実物を使って学習するには、航空機が運航していない時期に行なうため、訓練時間が限られていたり、エンジンパネルを開ける必要があり、それを見るためには高い場所に登らなくてはならないという手間もあった。
だが、HoloLensを活用することで、よりリアルに、いつでも訓練することが可能になり、質の高い技術習得が期待できるとしている。
指による操作でエンジンを回転させたり、位置を変えたり、実際のサイズに拡大させることができ、音声ガイダンスで構造を確認できるようになっている。
「整備士の訓練において、教科書の知識と合わせて、五感で学べるようになる」(JALの植木社長)とする。
航空業界に対して影響を与えられるイノベーション
米Microsoft ニューデバイスマーケティング担当のスコット・エリクソンゼネラルマネージャーは、「今回の協業により、パイロットトレーニングと整備士のトレーニングにおいて革新を起こすことができる。パイロットは、正しい操作を覚えることができ、整備士はエンジンを物理的に解体することなく、短時間に複雑なエンジン構造を学習できる。航空業界という重要な業界に対して影響を与えられるイノベーションだ」と語った。
コンセプトは『飛行機を一機まるごと教室に持ってくる』
JALでは、「今回のアプリ開発は、『飛行機を一機まるごと教室に持ってくる』ことをコンセプトとした」とする。
まさに、HoloLensを活用することで、いつでも、どこでも、飛行機がそこにあるような形で訓練を行なえる。将来的には自宅に持ち帰って、まるでそこに飛行機があるような環境で、訓練ができるようになるだろう。
そして、JAL HoloLensプロジェクトリーダーの速水孝治氏は、「HoloLensの特性を理解することで、パイロットや整備士の訓練だけでなく、旅客営業や貨物、空港などのさまざまな領域において活用していくことを検討したい」とする。
植木社長も「「世界で一番お客さまに選ばれ、愛される航空会社になるために、人とテクロノジーが融合した新しい取り組みに向けて、世界の航空会社に先駆けてチャレンジし続けていく」と語る。
HoloLensは、まずは業務利用が促進され、その後、エンターテイメント分野に活用されることになる。JALの実績は、HoloLensの実用化に大きな一歩になるといえよう。
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