インクジェットを使った複写機市場への参入を宣言
「ラインインクジェットによる超高速コピー機で、複写機も置き換えていく。これにより、オフィス市場開拓を軌道に乗せるととともに、オフィス製紙機のペーパーラボを組み合わせた循環型の印刷型環境を実現することで、新たなオフィス環境を実現していきたい」と語る。
いわば、これまでエプソンが展開していなかった複写機市場への本格参入を宣言してみせたのだ。
碓井社長が、複写機およびレーザープリンター市場を、インクジェットプリンターによって置き換えていくという宣言を行なった背景には、同社独自のマイクロピエゾ方式インクジェット技術が、新たなフェーズへと入ってきたことが見逃せない。
同社では、Precision Coreと呼ぶ、インクジェットの要素技術を持っている。すでに、オフィス向けや産業向けプリンターに採用している技術だが、これをさらに進化させることで、超高速での印刷、コピーが可能になる。
技術的な目途はつき始めているようだ。
「複写機に対抗する製品に搭載予定のラインインクジェットプリンター技術は、最後の追い込みに入っている」とし、2018年度を最終年度とする中期経営計画「Epson 25 第1期中期経営計画」の期間内に、これを製品化する計画を示した。「第1期中期経営計画中のなるべく早い時期に投入したい」と碓井社長は語る。
そして、生産体制の強化についてもすでに手を打ち始めている。
同社では、開発、生産体制強化などで、今後3年間に2100億円規模の投資を計画しているが、この投資計画でも、Precision Coreへの投資を重点的に行なう考えだ。
そのひとつとして、2018年上期からの稼働を目指して、広丘事業所内に、Precision Coreの生産(前工程)を行なう新工場を建設。研究開発機能を含めて、延床面積4万9000平方メートルを予定しており、同工場の稼働と、生産技術の進化などにより、プリントヘッドの生産能力を現在の3倍にまで拡大する計画だ。
また、2016年秋の稼働を目標に、秋田エプソンにおいて新工場を建設中である。これもPrecision Coreの増産につながる。また、インドネシアのプリンター生産拠点の強化にも乗り出している。
問題は、強力な複写機の既存販売ルートにどう食い込むことができるかといった点であろう。
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