ハイエンド向けの
Polaris 11
次がPolaris 11の話である。前回のロードマップではここにHBM2を「?」付きで入れたのだが、先のRaja Koduri氏のスライドからここがHBM1でほぼ確定したことになる。
実際のところHBM2のままでは、4チップではやや帯域が過剰すぎ、一方1/2チップだと容量的に不足があったので、HBM1のままというのは理に適っている。
強いて言えばハイエンド品が4GBのままでいいのか? というあたりだが、本命はより大容量のチップが利用可能なHBM2を採用したVega世代が2017年に登場するので、それまでのつなぎと考えれば妥当な戦略だろう。なお、Vega世代が登場するとPolaris 11がミドルレンジ~メインストリームになり、Polaris 10がメインストリーム~ローエンドに移動する形になる。
ちなみにPolaris 10/11世代の共通の特徴、つまりGCN世代との大きな違いの1つは、より広帯域なメモリーシステムへの対応と思われる。下の画像はFijiコアの内部構造図である。
64個のCU(Computation Unit)が2次キャッシュ経由でMC(Memory Controller)を挟んでHBMにアクセスする形になっている。問題はこの2次キャッシュとMCの間のつなぎ方である。
Hawaii/Grenadaコアの場合、8つのメモリコントローラーの先に、各々独立した32bitのGDDR5メモリーが接続されていた。GDDR5の場合、8nプリフェッチ(1回読み込み命令を出すと連続した8つのアドレス分のデータがやってくる)方式なので、1回のメモリーアクセス毎に32bit×8=32Bytes単位で読み取れることになっていた。
ところがHBM1の場合、プリフェッチこそ2nであるが、メモリバス幅は512bitとなる。もっと正確に言えば、HBM全体のメモリーバス幅は1024bitであるが、内部は8つのチャネルに分割されており、それぞれ128bit幅となっている。
したがって、このうちの1チャネルだけを使えば1回の読み取りサイズは128bit×2=32Bytesとなるのだが、実際には8chが2つのMCに接続されているので、1つのMCからはまとめて512bit分のアクセスをすることになり、結局512bit×2=128Bytes単位でのアクセスになってしまう。つまり32Bytes読み込もうとすると128Bytesやって来ることになり、96Bytes分無駄が出てしまう。
これを避けるには、2次キャッシュから128Bytes単位でアクセスするようにすればいいのだが、これを変更すると今度はCUと2次キャッシュの間のアルゴリズムの変更も必要になってしまう。最終的にはCUが、もっと大きな単位でのメモリーアクセスを許容するような構成にする必要がある。
先ほど「技術的にはGDDR5Xを採用する可能性もある」と書いたのはまさにこの点である。GDDR5Xは16nプリフェッチを採用するので、1回のメモリーアクセスあたり64Bytesが読み込まれる。ただPolarisが仮に128Bytesだけでなく64Bytesも許容するような作りになっていれば、技術的にはGDDR5Xでも性能を引き出すことは容易だろう。
ということで、前回のロードマップからの変更点はそれほどないのだが、AMDのGPUアップデートをお届けした。来週はNVIDIAのアップデートをお届けする予定だ。
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