前回、前々回と格安SIMのこの春の傾向を読み取ってみたが、さらに後出しで新たなサービスやキャンペーンが登場している。
2015年の春は高速通信容量が競うように増えていったが、2016年はユーザーに向けて多彩な取り組みが行なわれようとしている。
ヨドバシはワイヤレスゲートの新しい格安SIM
まず、大きな新サービスといえばヨドバシカメラ限定のワイヤレスゲートSIMカードの新プラン「ワイヤレスゲートSIM FONプレミアム Wi-Fi」。下り速度は最大3Mbpsと制限されるが、容量無制限で利用できる格安SIMだ。
データ専用、SMSなしで1680円(税込)と、格安SIMとしては少し高価に感じてしまうサービスだが、今まで同等の通信量無制限サービスが他社で約3000円だったのに比べるとずっと安い。
特に容量無制限のありがたさは、動画閲覧など容量を使うサービスにハマっている人にはうれしいもの。3MbpsというドコモLTEの理論値最大300Mbpsに比べれば大幅に遅いと思うかもしれないが、実際の利用ではそれほど気になることもない。
2~3年ほど前までLTEといっても劇的に速いわけでもなく、実効速度で3Mbpsを少し上回る程度だったことを思い出せば、当時と実用性はほとんど変わりはないと思ってもいいだろう。
また、ワイヤレスゲートのプランはサービス名に「Wi-Fi」の名称が入っていることから公衆無線LANサービスがセットで、それを活用することがコンセプト。
必要に応じてWi-Fiを使えば、さらに快適な通信が行なえる可能性もある。それでも、実際の使い心地はどうなるかわからない。しばらくして試してみて判断してみたいと思う。
ビックカメラも対抗か? スマホ本体を割り引く
ヨドバシカメラに刺激されたのか、ビックカメラもとうとう端末割引を開始した。格安SIMは端末購入とまったく切り離した自由度と独立性がメリットなのだが、回線加入で端末割引という既存大手キャリアのようなキャンペーンが27日まで開催されている。
公式にサイトなどで案内される割引はビックカメラの名前が入った格安SIM、「BIC SIM」「BIC モバイル ONE」と指定機種のみだが、同時購入でスマートフォンが20%オフとなる。
また、それらのSIMのうち、音声通話付きタイプを2回線同時に購入すると、2枚目のSIMパッケージが半額となる。約3000円という新規加入事務手数料に相当するパッケージ代が安くなることで、加入のハードルがいっそう下がった。
そのほか、機種限定となるが、同時購入のガラスフィルムや周辺機器も割引となる。最近はSIMフリー機でも人気機種なら専用フィルムなど専用アクセサリーが充実してきており、同時購入を考えている場合は非常にうれしいキャンペーンだ。
実際に店舗に出向いてみると、端末とSIMパッケージのセットがいくつか見受けられる。1万円以下のプライスがついてるものもあり、一度は店舗に出向いてみるといいだろう。
リアル店舗のサポート店を増やしているmineo
ケイ・オプティコムの格安SIM「mineo」はリアル店舗でのサポートを強化した。といっても直営窓口を増やすわけではなく、サポート店と呼ばれる協力関係を持ったお店を増やしている。
少し仕組みは複雑だが、お店で店頭スタッフの指導のもと、加入手続きやスマートフォンが使えるまでを面倒みてくれるのは大きい。
複雑な仕組みとは、基本はサポート店であっても初期設定サポートは1000円の有料サービスとなること。ただし、サポート店となっているお店でmineoの加入パッケージ「エントリーパッケージ」を購入したり、端末購入でサポート料が無料となる。
さらに複雑なのは、「エントリーパッケージ」にはSIMが入っておらず、申し込み手続きをした後に申し込み時に選択したドコモかauのネットワークのプランや、SIMサイズ、音声通話の有無で登録されたSIMが送られてくる。
つまり、お店で「エントリーパッケージ」を買った場合でもそのときの一度で済まないのが残念なところとなる。

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