壊れても新品に交換! サポートがある意味すごい!
「中国の家電でも悪くない」という評判の広がりと、中国メーカーの近年の白物家電が問題ないかというのは別の話となる。筆者の訪れたいくつかの家庭では、時間が経過し、なんらかの機能、ないしはどこか物理的に壊れた中国メーカー製白物家電をしばしば見かけた。
日本で売られている日本の家電とは、使用可能期間でだいぶ異なる印象がある。筆者自身の購入と使用経験でも、さまざまな家電が自滅し、5年単位で使い続けている家電はサムスンにLGといった韓国メーカーのものばかり(筆者はレビューも考慮し、中国では日本メーカーの製品は基本的に買わない)。
壊れやすいとしても、なおも中国の家電メーカーが勢いがあるのは、経済成長とオンラインショッピングの成長の中で、交換のペースが早まったことと、中国メーカーは修理を依頼すると基本新品と交換してくれる、というサポート体制にある。
このような経緯を経て、中国人は美的について「お手頃価格で買える著名家電メーカー」という印象を持つに至る。
高品質イメージの取得が東芝買収の大きなメリット
「お手軽価格」の印象を打破しようと、美的は2015年前半に、爆買いで日本製炊飯器がよく売れたのを受け、高級炊飯器「鼎沸」(ディンフー)などのハイエンドモデルをリリースした。しかし、まだまだブランドイメージ改善には至っていないように思える(もちろん1機種だけでイメージを変えるのは難しい)。
また筆者が知る限りでは、タイやベトナムなどの東南アジアにおいては、美的、いや中国家電全般に対し、消費者が品質に不安で多少安くても買わないきらいがある。
これまで美的は、東芝とエアコンの方面で技術提携していた。今回の東芝の白物家電部門買収で、何が美的にプラスになるのだろう。
中国国内では、日本製品に近い、壊れないモノづくりをとり入れるだけでなく、海外では美的と東芝の2つのブランドで同社製品を売ることで、弱点を補完できそうだ。

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