デバイスと通信サービスが紐付くようになる?
スマートフォンで従量制のデータプランを使っていると、できるだけWi-Fiでのアクセスを使って、モバイル通信でのデータ量を節約しようとします。自宅はもちろん、カフェのWi-Fiも多用しますし、東京では地下鉄の駅でのWi-Fiも重宝します。電車を待つ時間にアルバムをダウンロードしておけば、ストリーミング音楽サービスもデータ通信量の負担をなくすことができますし。
Project FiのSIMは、モバイル通信とそんなスマホユーザーの行動をうまくサービス化したSIMといえます。個人的には、バークレーではVerizonよりT-Mobileの方がLTEのスピードが出ていましたので、おそらく快適に利用できるようになるでしょう。
ちなみにAppleは、iPad向けのデータ通信専用SIM「Apple SIM」をリリースしており、日本でも購入できるようになりました。このSIMを利用すると、米国や日本などの行った先で、従量制のデータ通信をiPadから購入することができます。出張や旅行で海外に行く場合、iPadですぐにネットアクセスを行うことができる点がポイントです。
Apple SIMは今のところ、iPadでしか利用できず、iPhoneやiPad以外のタブレットで利用することはできません。Project FiのSIMがNexus専用であるように、Apple SIMはiPad専用なのです。
デバイスはSIMフリー化への流れがありますが、SIMがデバイスを選ぶという側面が見え始めた点も面白い現象です。デバイスと通信サービスの関係性が多様化していく過程こそ、料金だけではない、サービスとしてのモバイルの発展になるかも知れません。特にこれから、IoTデバイスの通信をどうするかという問題も控えていますし。
筆者紹介――松村太郎
1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。米国カリフォルニア州バークレーに拠点を移し、モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。
公式ブログ TAROSITE.NET
Twitterアカウント @taromatsumura
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