ゲーミングにかけるMSIの意気込みも台湾本社で取材!
お手ごろ価格のカーボンマザーボード MSI『Z170A GAMING PRO CARBON』レビュー
MSIメーカーロゴ変更にみえる“ゲーミング”への意気込み
2015年末、台湾のMSI本社を見学する機会があった。その模様を合わせてレポートする。
MSI(微星科技股イ分有限公司、Micro-Star International Company Limited)の本社は、日本でも名が知られた自作パーツメーカーが集まる地帯にある。
本社ビルに輝くロゴを見ていただけるとわかるとおり、“GAMING”の文字がはっきりと書かれている。古くから自作に触れてきた人なら、薄い青の文字でMSIと書かれたロゴも覚えていることだろう。
1986年に設立し、2016年に30周年を迎える今、“赤と黒”をベースカラーに中華圏らしい龍のシンボルを携え、“MSI=ゲーミング”だと強くアピールするロゴに変わった。担当者も「中長期的にゲーミングをプッシュする意思表示である」と語った。
また、スタッフによると台湾でのPCパーツ購入事情は「店頭でのBTOが主流」なのだそうだ。「ゲームをするためにPCが欲しい」というオーダーがあった場合に、ゲーミングというイメージがある製品でないと選ばれにくいのだろう。
そんなMSIと台湾のゲーミング事情だから本国では驚くことでもないのかもしれないが、事務作業も行なっているフロアの一画に“ゲーミングルーム”を設けていた。
5人対5人の対面席とひとつの実況向けブースが設置できる広さで、MSIがスポンサードしているプロゲーマーを呼んでインプレッションを聞いたり、動画実況放送を行なっている。ちなみに、仕事のあとに社員が集まってゲーム大会を開くこともあるとか。
MSIは日本のゲーミングチーム『DeToNator』とスポンサー契約している。彼らを含めスポンサー契約を結んだ選手が製品に対するフィードバックを行ない、キーボードの位置やセッティング、ホットキーの内容などが製品に反映されているとのこと。
そのDeToNatorだが、中核ともいえるAVA部門のメンバーは今年2016年1月に台湾プロリーグに参戦することを発表した。
今現在、日本に支店があっても本社の決定がなければ選手のスポンサードは実現できないメーカーが大多数だ。ゲーマーが海外に進出するためにも本社のサポートは必須。このMSIのように、日本プロゲーマーが世界に羽ばたくためのチャンスを与えてくれるメーカーがあることは、同じ日本人としてうれしく夢が広がる。
ゲーミングのMSIをイメージづける製品のひとつがマザーボード群だ。『X99A GODLIKE GAMING CARBON Edition』や『Z170A GAMING PRO CARBON Edition』が、今年前面に押し出していく製品だ。
X99A GODLIKE GAMING CARBON Editionは、DDR4メモリースロットに基板保護の目的とオーバークロック時などにノイズの影響を防ぐ“DDR4 Steel Armor”を搭載。そのほか主な機能は前モデルの『X99A GODLIKE GAMING』と同じだ。
カーボンブラックのカラーイメージは“ソリッド”や“タフ”、“ハイテク”など。航空機やレースカーに採用されていることから、“軽くて強い”というイメージもあるだろう。
ことマザーボードにおいては、放熱性が高いことや、重量級のグラフィックボードを搭載しても基板がたわんだりしない、ということがメリットになる。
面白いのはここまで“黒と赤”のブランドイメージカラーを強調していたのにもかかわらず、この2製品はブラック調カーボンのみと、落ち着いたデザインだ。これはユーザーから「前モデルの赤がうるさかった」という率直な意見を反映した結果だ。こういった細かい修正についても、ユーザーの声をしっかりと聞く姿勢が見てとれる。
Z170A GAMING PRO CARBON Editionが同じくメインストリームの価格帯ながらカーボンを採用したモデルだ。前モデルの『Z170A GAMING PRO』と比べると、LED発光パターンや、PCIエクスプレススロット、SATAポートのレイアウトなどが変更されている。バックパネルのUSB3.1ポートにはType-Cが追加されている。
また、本社ビル内では、マザーボードやノートPCのラボを見学することができた。
デジタルノイズを計測したり、連続稼働で耐久テストを行なう部屋は地上階に。余計な電波をさけるために、電波関連のテストは地下駐車場の片隅に点在していたのがユニークだ。
オーバークロックモデルのマザーボードも多く揃えるだけに、検証ルームを用意している。
液体窒素冷却によるデモや、基板が薄くなったSkylake系CPUの破損防止パーツ“CPU GUARD”の説明などが行なわれた。
数々のノートPCがデザインされてきたスタジオ。デザインのイメージとなる流線型の車の写真や、マテリアルのサンプルなどがあった。
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