中国が2月に発表した「中国網絡出版服務管理規定」(ネットワーク出版サービス管理規定)」が話題となった。
デジタルコンテンツに関して、すべてを許可制にし、合資企業を含む外資企業によるリリースはできないとのこと。つまり「中国は、外国企業による中国での直接的なデジタルコンテンツの配信を禁止」とも解釈できる。
コンテンツの外資締め出しとなれば、確かに衝撃的だ。しかし現状、アニメやスマホゲームなどは、ライセンスを与えた現地企業がリリースしている(JETROの「中国における日系コンテンツ受入状況等データ」に一覧がある)。
中国ではAndroidアプリのダウンロードなど、Google Playはアクセス禁止なのでまったく機能していない。その一方、中国においてもAppStoreを経由してアプリのダウンロードは可能で、そのサーバーについては中国国内に移転している。つまり、この新ルールの制定によって、大きくデジタル鎖国が進むわけではない。
より詳細については、クララオンライン代表取締役社長CEOの家本賢太郎氏はブログ「中国の「ネットワーク出版サービス管理規定」施行に伴う影響について」という記事で詳しく書かれているが、氏も記事の中で「結論、今のところは日系企業としての影響は基本的に何も変わりません。」と結論づけている。
中国産コンテンツが人気になったタイミングでの規制
中国で外国のデジタルコンテンツがいまだに強いのは、「ACG」と呼ばれるアニメ・コミック(マンガ)・ゲームである。
中国は国産コンテンツの推進に力を入れてきた。特にこの1年はACGのイベントやニュースのたびに、「IP」(知的所有権)という言葉を訴え続けた。日本やアメリカのグッズの販売が盛り上がる会場内で、「自国産のコンテンツを作ろう」とアピールしたわけだ。
今まで空白地帯だった中国産の青少年向けのアニメが登場し、また国産コミックのポータルサイトもできている。中国産ゲームアプリは「アングリーバード」や「ゾンビVSプランツ」に代わって人気となっている。
そんな折に、今回の中国網絡出版服務管理規定が発表されたのだ。
中国のネットビジネスは、配車サービスをはじめ「法ができる前にいろいろやっちゃえ」的なものが多く、そこになるべく早く法が追いつく、となることが多くあり、法や規定の制定は決して遅くはない。いや、相当迅速といえる。
だが、コンテンツ絡みの規定となると、この規定しかり、制定には時間がかかる。見ようによっては、海賊版を配信することで配信サイトの利用者が増え、中国サイトが正規版も含め配信が軌道に乗ったところで、頃合いを見計らってコンテンツ絡みの規制をかけているようにも見える。
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