2月20~21日に秋葉原で「OcuFes Final(オキュフェスファイナル)」が開催された。このイベントは、バーチャルリアリティー(VR)向けのゲームやアプリなどを開発している個人や企業が集まって行なう展示会だ。
不定期ながら、ほぼ毎季節ごとに開催されており、今回は43の団体が出展し、4500人の来場者があった。
OcuFesは、「VRのコミケ」といった称され方をすることもある。販売機能は持っていないものの、開発者がこの日のために作ってきた渾身のデモから、ちょっとしたアイデアを試すものまで、さまざまなものが雑多な感じで展示されている。
4月に発売が予定されている最新の専用VRヘッドマウントディスプレー(VRHMD)の「HTC Vive」から、開発機材「Oculus DK2」、スマホVRの代表格「Gear VR」など、現在出ているVRデバイスが一同にそろっていた。
実験的なVRゲームを展示している個人・企業がいるなか、OcuFesといった機会を利用して、VR分野での成長に賭けようとする企業も登場している。OcuFesを通じて見えてくるVR市場の変化を紹介したい。
気軽に発表をしたいというVR開発者が集まった
OcuFesを運営しているNPO法人オキュフェス代表の高橋 建滋氏によると、「第1回目のOcuFesは2013年8月にまでさかのぼる」という。
2013年春に出荷が始まった初期開発モデル「Oculus Rift DK1」のデモを持ち寄るような機会を作ろうと、いち早く入手した開発者たちが、Twitter上などで呼びかけたのが始まりだ。会場となった秋葉原のハンバーガーショップには、5台のDK1が持ち込まれ、それを体験するために狭い店内に150人が集まった。それから2年半がたち、回数を重ねていくにつれ、OcuFesは規模が大きくなっていった。
高橋氏によると、OcuFesの発展を支えてきたのは「VRでなにかを作ってみたけれども、発表する場所がない」という開発者たちの切実な思いだった。
「Oculusのデモを発表できる公式サイトがあるが、英語での登録作業が難しくて簡単に発表できなかったり、思いつきで作ったデモを展示したりすることができない。展示会の良さは、自分の作ったVRコンテンツを、体験したお客さんが目の前で喜んでいる姿を見ることができる点。これが作っている人間にとってなによりうれしいものだと思っている」(高橋氏)
OcuFesはボトムアップ志向が強い。作りたいという人が集い、それがさらに人を呼び、企業も呼び込むように発展していった。「最初、VRに興味があるのは、新しいもの好きだけの集まりだった。しかし、たまたま来場したおじいさんが初めてVRを体験する機会となったり、外国人の方が来るようになったりと、さまざまな人が来るようになった。OcuFesが目標としているパーソナルVRという文化に広がってきていると思っている」(高橋氏)
OcuFesは、スポンサー費などが集まった場合という前提がつくが、出展料は無料で、入場料も無料である状態を続けている。できるだけ、出展者も来場者も、手軽に参加できる状態を持続したいという高橋氏の気持ちもある。
今回の展示で、一際、注目を集めていたブースがある。神田技研の「戦艦大和VR復元計画」のブースだ。