ベリタステクノロジーズは2月15日、日本市場における2016年の事業戦略/製品戦略説明会を開催した。代表執行役員社長の西村隆行氏は、ベリタスのミッションは「情報のチカラを引き出すこと」だと述べ、3つの新施策を展開していくと語った。
昨年シマンテックから分社し、今年2月から情報管理/情報ガバナンス専業の独立企業として事業を開始した“新生”ベリタスだが、バックアップ/アーカイブ/情報ガバナンス市場においては、すでに一定のユーザーベースとブランド力を有する。2014年度のグローバル売上は約25億ドルあり、西村氏はベリタスを「強固な事業基盤を持ったスタートアップ企業」だと語る。
「ベリタスのミッションは『情報のチカラ』を引き出すこと。具体的には、バックアップやDR(災害対策)などのソリューションを通じて『情報がいつでもすぐに使える環境』を提供する。もう1つは、情報保管にかかる無駄なコストの削減を目指して『情報のインサイト(洞察力)』を提供していく」(西村氏)
ただし、従来のビジネスを成長させるだけでなく、新しい領域への拡大も図るという。顧客企業を取り巻く情報/データ環境やITインフラ形態が大きく変化する中で、情報管理には新たな課題が生まれている。専業企業として、ベリタスはそうした課題を解消する新たなソリューションを提供していかなければならないと考えている。
現在、顧客が直面する情報管理の課題について、西村氏はビジネスのデジタル化による「データの急増」、オンプレミス/クラウドのハイブリッド化が進むことで起きる「データのフラグメンテーション(分散/分断)」、そして大量の不要なデータも保管せざるを得ない「データのガバナンス欠如」という3つを挙げた。この動きは今後さらに加速し、課題もますます大きくなることが予測される。
西村氏は、2016年の国内市場戦略として「3つの新施策」を挙げた。好調な売れ行きを見せているクラウド型メールアーカイブサービス「Enterprise Vault.cloud」やバックアップアプライアンスシリーズ「Veritus NetBackup」のラインアップ/販売強化、新しいパートナープログラム開始とパートナーサポート体制拡充、複雑化するデータ環境のアセスメントやシステムヘルスチェック、企業上層部へのアドバイザリといったサービス強化を実施していくとしている。
これらの施策を背景として、2016年度は「2ケタ成長」を目指すと同時に、パートナーの拡充や、企業/パートナーに対する“新生ベリタス”の認知度向上も図っていくと、西村氏は今年の戦略目標をまとめた。
NetBackupアプライアンスはエントリー/ハイエンドモデルも追加
常務執行役員 テクノロジーセールス&サービス統括本部の高井隆太氏は、今年の製品戦略を説明し、新製品群を紹介した。バックアップ/アーカイブ/DRなど従来のコア製品(中核製品)ポートフォリオを拡充すると同時に、「可用性向上」「情報インサイト」の2分野では次世代製品を投入していくという。
まずコア製品のポートフォリオ拡充では、これまで物理容量36TB~144TBだったNetBackupアプライアンスシリーズに、エントリーモデルとハイエンドモデルを追加する。エントリーモデルは、既存の「NetBackup 5230」に4TBまたは14TBのキャパシティライセンスが付与するもので、価格と規模を抑えることで導入しやすくしたもの。またハイエンドモデルは高速で、最大容量458TBまたは229TBの「NetBackup 5330」という新機種となる。
また定額/容量無制限のクラウド型メールアーカイブのEnterprise Vault.cloudでは、グローバルな大規模企業で特にガバナンスや監査のニーズが切実になっていることから、こうした企業への販売を強化していく。Office 365とEnterprise Vault.cloudの組み合わせで、5万ライセンスのクラウドメール/アーカイブ環境を実現したLIXILの導入事例も発表している。
可用性向上のための次世代ソリューションとしては、本番/DRの物理/仮想/クラウド環境(OS、データ、アプリケーション)をオーケストレーションすることでITサービス継続性を自動化するとともに、RPO/RTOの自動算出機能などにより予測可能性も高める「Resiliency Platform」が紹介された。
また、“情報インサイト”を提供する次世代ソリューションとして、クラウドサービス「Information Map」が紹介された。これはNetBackupと連携し、非構造化データ/ファイルの種類や容量、最終アクセス日時といったメタデータを収集し、可視化するもの。企業が保存する大量のデータから、もはや保存する必要のない古いデータを洗い出し、破棄を可能にする手助けをする。将来的にはベリタスの他製品やサードパーティ製品とも連携し、データへの洞察力を提供する統合プラットフォームを形成していく計画。
「ある企業の実績だが、保存データのうち7割のデータが1年間一度もアクセスされておらず、3割は無用なデータだった。これまでの手法ではこれが検出できない」「データ急増に対し、現在のようなストレージ増設を続けているとコスト的に破綻する」(高井氏)