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3回使える!ル・クルーゼ流コンテンツマーケ運用法 (2/2)

2016年02月05日 11時00分更新

文●野本纏花

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問い合わせに対する回答

問い合わせに対する回答は、レシピサイト内に「便利な使い方」というページを作り、カスタマーサービスに問い合わせが多いワインオープナーの使い方やグリル・スキレットの使い方、鋳物ホーロー鍋の洗い方などについて解説した動画がまとめてある。

「便利な使い方」ページ


動画で紹介している「ル・クルーゼのグリルの使い方」

「よく検索されるレシピの解説動画もそうですが、動画を充実させることでユーザーの支持を集め、結果として検索エンジンからも評価されるページ(SEO)になっていると思います」(頼廣氏)

オウンドメディアのコンテンツは「『お客様が求めているもの』と『自社が打ち出したいもの』の2つのバランスが大切」と頼廣氏は話す。

オウンドメディアの成果は売上では計らない

こうして地道にコンテンツを拡充することで、レシピサイトは着実にその存在価値を増している。オンラインショップ兼ブランドサイトの流入経路ランキングでは必ず10位以内に入っており、オンラインショップ兼ブランドサイトの訪問者数自体も対一昨年比で30%増になっている。「オウンドメディアとしてのレシピサイトに非常に効果を感じている」と頼廣氏は語る。

ただし、レシピサイトでは、オンラインショップでの購入、つまり直接のコンバージョンはそれほど重視していない。高価なル・クルーゼの鍋はカスタマージャーニーが非常に長い商品なので、1回レシピを見たからといって購入するものではない。レシピを見たり、リアル店舗で実際に商品を見たりといった、いろいろなきっかけが積み重なって購入される商品だからだ。

人気のレシピサイトの新たな課題

2013年にリニューアルしたレシピサイトだが、まだまだ課題は残されている。喫緊の課題はモバイル対応だ。

「6割以上のアクセスがスマートフォンなのに、まだ対応ができていません。2016年はスピード感を上げて注力したい」(及川氏)

もう1つは、「今ある500以上のレシピを整理して、検索されやすく、オンライン上で拡散されるレシピにしたい」(頼廣氏)

たとえば、シェフに作ってもらったレシピは「そんな名前、誰も知らないでしょ」と突っ込みたくなるような、難しい名前になりがち。 それを“普通に検索できるタイトル”にするといったことだ。

「紙媒体ならいいのかもしれませんが、Webでタイトルがわかりにくいと検索でヒットしないので…。社内の説得にも奔走しています」(頼廣氏)

※ ※ ※

質をともなわないPV偏重主義になりがちなオウンドメディアだが、本来の目的を見失っては元も子もない。ル・クルーゼのオウンドメディアは、常にファンの目を意識し、ファンの行動から学びを得ようと、一過性のバズを狙った「フロー」なものだけではなく「ストック」される価値ある資産として制作している。オウンドメディアに携わる人たちにとってよい例になるのではないだろうか。

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