パナソニックの100%子会社であるパナソニック エコシステムズは、同社が取り組むIAQ(Indoor Air Quality=室内空気質)事業戦略などについて説明。また、同社春日井工場の生産ラインも公開した。
パナソニック エコシステムズの前田潔社長は、「当初、2018年度の売り上げ計画として2000億円を掲げていたが、新規事業の立ち上げなどが好調であり、2018年度は2400億円を目指す。これは、2013年度実績の1450億円の約1.5倍になる」とした。
同社では、IAQビジネスユニットと、環境エンジニアリングビジネスユニットで構成され、IAQでは、外からの有害な物質の侵入を阻止する「給気」、室内の有害な物質を浄化、排出する「排気」、菌や臭いを抑制し健康快適気流を実現する「循環」の3つの観点から実現。「この3つを組み合わせることで、健康・快適を省エネで提供することを基本戦略に置いている」とした。
空気清浄機や除湿機、加湿機などの「空質家電」、レンジフードや天埋換気扇、熱交換器ユニット、ミストサウナなどの「換気システム」、触媒DPFなどの「デバイス」を取り扱っている。
空気清浄機については2015年8月から、加湿空気清浄機については、中国生産から春日井工場への生産に移行。「日本での総需要は減少しているが、目標に対しては順調に進んでいる。中国、中近東、アジアといった海外市場における販売強化も進めたい」(パナソニックエコシステムズの林勝成常務取締役)とした。
また環境エンジニアリングでは、排水処理設備、排ガス処理設備、薬液再生、供給設備、土壌浄化などの「環境・水」、トンネル内送風・浄化、クリーンルーム、メガソーラー、ガラス建築による「空調」、酪農・養鶏用換気システムなどの「畜産」といった分野に取り組んでいる。
2014年度の売り上げ実績は約1600億円。そのうち海外比率は42%。IAQ分野では56%を占める。扇風機では世界103ヵ国に展開しているという。
また、社員数は約6000人で、そのうち72%が海外勤務。世界8ヵ所に生産拠点を持つ。
パナソニック エコシステムズは、パナソニックよりも長い歴史を持つ1909年創業の川北電気企業社に端を発し、1913年には国産初となる量産型の交流式扇風機を発売。扇風機では累計1億2000万台、換気扇では累計1億7000万台、空気清浄機では累計1400万台の出荷実績を持つ。2018年度には換気扇で2億台の出荷を目指すという。
2018年度に掲げた2400億円の売り上げ目標のうち、海外事業の売り上げ比率は52%を計画。2018年度に1750億円を計画しているIAQ事業では、海外売上高比率が68%と約2/3分を占めると想定している。
「2018年度までの800億円増加分については、既存事業の成長、シェア向上で450億円、新規事業および新市場への展開で350億円を見込んでいる」という。
今後の成長戦略においては、「グローバル展開」「重点戦略商品と新規事業」「環境エンジリアリング事業」の3つを強化ポイントに位置づける。
「IAQ分野ではグローバルシェアナンバーワンに挑戦。中核製品となる天井扇と空気清浄機では世界トップシェアを獲得する考えだ。また、今後は、北米換気扇事業、ディーゼルエンジン排ガス浄化触媒フィルター事業、農畜産分野での展開を強化していくことになる」とした。
グローバル展開においては、1993年の市場参入から22年の実績を持つ北米換気扇市場において、天埋扇のWhisperシリーズを強化。2014年度に100万台を販売。この実績をもとに、「2018年度に150万台の出荷を目指す。できればこれを200万台にまで持っていきたい。パナソニックの換気扇ならではの省エネ、静音、耐久性を強みに展開する。
さらに、これまでの高級住宅などを対象にしたローカルビルダーでのバリューゾーン展開が中心であったが、今後は省エネ住宅や中級住宅などを対象に、トップ400社のナショナルビルダーにも展開し、eco ventブランドの製品投入により、ボリュームゾーンにも取り組んでいく。また、メキシコに生産拠点を新設し、リードタイム短縮、コスト力強化につなげたい」とした。