国立精神・神経医療研究センターや国立研究開発法人 理化学研究所などのグループは12月10日、コモン・マーモセットで「ミラーニューロン」を世界で初めて発見したと発表した。
ミラーニューロンは高次の脳活動に影響のある脳部位で、自分がある行動すると同様に、他者が同じ行動をするのを見る際に活動する細胞。行動を行なう身体運動や、行動の意図の違いによっても活動が大きく変わるという。
これらのことからミラーニューロンは他者と協調を促す役割があると考えられており、実際に他者の意図を読むことが苦手な自閉症患者はミラーニューロンに障害があることも多いという事実が研究から分かっている。
霊長類においてはこれまで、ヒト、旧世界ザル(マカクザル)でしかミラーニューロンが見出されていなかった。研究チームは新世界ザルのコモン・マーモセットに蛍光トレーサーを注入、さまざまな行動を取る際の前頭葉下部ニューロン活動を調べてミラーニューロンの存在を明らかにした。
コモン・マーモセットは遺伝子改変することでヒトにしかからないような病気にかかるようにでき、霊長類であることからマウスやラットでは研究できない脳の疾病に関する実験動物として利用されている。今回、ミラーニューロンの存在が明らかになったことで、自閉症メカニズムの解明や診断、治療に大きく役立つとしている。