「iPad Pro」と「Surface Pro 4」には共通点が多い。12型クラスのタッチパネルディスプレー、ペン、着脱が可能なキーボード一体型カバー、OSのメーカーが作っているハード、などなど。サイズも292.1×201.4×8.4mm(Surface Pro 4)、305.7×220.6×6.9mm(iPad Pro)と大きく違わない。
まずはスペック表を見てみよう。
Surface Pro 4 | iPad Pro | |
---|---|---|
OS | Windows 10 Pro | iOS 9 |
プロセッサー | Core M3/i5/i7 | A9X |
ディスプレー | 12.3型液晶(2736×1824/267ppi) | 12.9型液晶(2732×2048/264ppi) |
ストレージ | 128/256/512GB/1TB | 32/128GB |
メモリー | 4/8/16GB | 非公開 |
SIM | - | nanoSIM |
Wi-Fi | 802.11a/b/g/n/ac | 802.11a/b/g/n/ac |
カメラ | 8メガ | 8メガ |
インカメラ | 5メガ | 1.2メガ |
駆動時間 | 最大9時間 | 最大10時間 |
サイズ | 292.10×201.42 ×8.45mm |
220.6×305.7 ×6.9mm |
重量 | 766/786g | 713/723g |
カラバリ | シルバー(本体) ブラック、ブルー、ブライトブルー、レッド、ティール、オニキス(Surface Pro 4 Type Cover) |
シルバー、ゴールド、スペースグレイ |
価格 | 13万4784円から | 10万3680円から |
プロセッサー、メモリー容量、OSには決定的な違いを見るが、やはり似た部分が多い。そうなると、プロセッサー、メモリー容量、OSの違い(あとはデザイン)で選ぶことになる。
何がしたいかで選ぶしかない?
プロセッサー、メモリー容量、OS、となると、つまり、何ができるか/したいかの話になると思う。ビジネスユースに的を絞って考えてみよう。ビジネスで使うなら、Microsoft OfficeとアドビのCreative Cloudについては気にしておきたい。
Microsoft Officeについて、iOS端末ではこれまで無料版のOfficeが利用できていたため、iPad Proも無料で使えそうに思うが、iPad Proはディスプレーサイズが10.1型を超えているため、Officeの利用にはOffice 365のサブスクリプションプランの契約が必要だ(月額1274円)。契約しなくても利用自体はできるが、閲覧モードとなってしまうため、”普通に”使いたければ、契約はほとんど必須だ。iOSで利用できるドキュメント製作ソフトとして、アップルの「Pages」「Numbers」「Keynote」は用意されており、これらはWord、Excel、PowerPointとの互換性があるため、割り切ってこちらを利用するのも手だ。
次にアドビのCreative Cloudだが、iOSではデスクトップ版とは異なり、Creative Cloudシリーズの「モバイルアプリ」を利用することになる。「Lightroom Mobile」や「Premiere Clip」などデスクトップ版のアプリと近い名称のものもあるが、基本的にiOSのUIに最適化され、タッチ操作で可能な範囲の作業を実行するためのアプリケーションとなっている。「Photoshop Mix」による画像合成や、「Illustrator Draw」によるベクター描画など、かなり高度な作業もできるが、デスクトップ版のような操作感やパフォーマンスを期待するものではない。ただ、デスクトップアプリのCreative Cloudの利用にはサブスクリプションが必要なのに対し、モバイルアプリは無料で利用できる。これはうれしい点だ。
iPad ProはノートPCではないが
Surface Pro 4はほとんどWindowsノートPCとして使える
上記のように、OfficeとCreative Cloudの2大アプリケーションを「ノートPCと同じように」使おうとすると、iPad Proでは悩んだり、工夫を強いられるシーンがいくつかあるはずだ。もし、外出先でもOfficeやCreative Cloudを使って普段と同じ作業を、同じようにこなしたければ、Surface Pro 4を選ぶ方が後悔しないはず。Windows 10 Proを搭載しており、上位モデルならばマシンパワーも十分だ。
スペックや特徴に共通点が多いように思える両機だが、やはりOSの違いは大きく、できることは近いようで異なる。
iPad Pro、どんな人におすすめなのか?
では、Surface Pro 4よりもiPad Proを導入するといいのはどんなユーザーだろう? なかば個人的な見解となるが、やはり強くお勧めできるのは、Macを中心としてPC環境を構築しているユーザーや、iPadシリーズをすでにビジネスに導入しており、さらに高いパフォーマンスを求めるユーザーだと思う。
iCloud経由であらゆるコンテンツが自動的に同期されている利便性は、Mac、iPad、iPhoneと揃えて使ってみるとよく実感する。iPad Proも工夫次第でノートPCに近いことはこなせるが、「ファイルを圧縮してクラウドストレージに保存する」「プリンターに有線接続する」など、ビジネスシーンで求められるごく一般的な作業の中に、つまづくシーンが多いのは確かだ。
まとめてみる
簡潔に言うと、Windows PCでやっていることをそのままするのにはiPad Proは向かないが、Surface Pro 4よりもiPad Proを導入した方が環境に合う人もいる……ということになると思う。
Surface Pro 4の方が向く人
- Windows PCでしていることをそのまましたい
- Microsoft OfficeやAdobe Creative Cloudを(PCと同じように)使いたい
- 外部機器をたくさんつなぐ
- Windowsに慣れている
iPad Proの方が向く人
- Macを中心とした作業環境だ
- iPadユーザー、またはiPadを入れたワークフローを自分の中で想定できる
- iPadでイラスト製作をしたかった
- iOSの操作に慣れている
以上、私見も入り混じっているが、購入時の参考にしていただければ幸いだ。
![](/img/blank.gif)