Niko & The Way to the Stars by anima
「日本とフィンランドではアニメビジネスの位置づけが違うんです」と、フィンランドの3Dアニメスタジオ・アニマのペッテリ・パサネン代表はいう。
従業員わずか5人の小さなスタジオだが、トナカイが主人公のアニメ「ニコ」を118カ国でヒットさせた。アニマはいま、アニメ『ジュリア・アンド・パル』を日本・フィンランド・マレーシア・イギリスで共同制作している。
「日本の場合は国内市場が大きいですが、フィンランドは人口が少ないので国内市場はとても小さい。フィンランドでアニメを制作する場合は、往々にしてグローバル市場を視野に入れた企画になります。そうしたアプローチをとってきたため日本のパートナーにとって有益になるのではないかと考えています」
いまアジアをふくめてアニメ市場が成長している状況といい、世界市場を狙うフィンランドアニメはほかにもあらわれている。その1つが「Dibidogs」だ。
想像力を伸ばすフィンランド教育がアニメに
The Dibidogs by Futurecode
Dibidogsは犬が主人公のアニメ。日本では旺文社との共同展開が決まった。
同作はなんと、子供の落書きから始まったアニメ(詳細はこちら)。「当時子供は『デジモン』を見ていたので日本アニメの影響も少なからずある」と、子供たちの親でありプロデューサーのジム・ソラティエさんは話していた。
ストーリーも子供がつくり、現在は中国やタイを中心に放映中。子供の創造性を伸ばすことを目的としたフィンランド教育をストレートに反映したような内容で、旺文社はアニメ放映とともに教育分野への応用を考えているらしい。
ちなみに子供の創造性をひきだすコツは「正解・不正解はないと教えること。どんなアイデアでも正解と教えると、子供はエキサイトしてどんどんアイデアを出してくれる。賞賛して自信をつけさせるのが大事」(ジム・ソラティエさん)
またDibidogsは、キャラクター展開も面白い。
プログラミング教育用の教材にも応用
たとえば、来年からフィンランドではじまるプログラミング教育の教材やアプリ。これもやはり旺文社が日本展開していく予定があるという。
「フィンランドはそれほど大きな国ではないが、ゲームやアプリなど世界でも非常に優秀なエンジニアを輩出している国。その教育実績をとりいれた形のソフト『Dibicode』を展開していきたい」と旺文社の高橋政男さん。
おもちゃなら、3Dプリンターで出力できるフィギュア。さらにはARを使って寝物語を語ってくれる枕カバーなど、デジタルなグッズがそろっている。
北欧の大きなショッピングセンター「シティコン」では、スマホでDibidogsのデジタルカードを集めるイベントを展開した。デジタルカードが8枚集まったら受付でリアルなカードをもらえるというもので、なかなか盛りあがりそうだ。
日本との共同展開で、世界を狙うフィンランドアニメ。じつは日本とフィンランドがアニメを共同制作するのはいまに始まったことではない。
日フィン協力で世界ヒットを
フィンランドを代表するアニメ「ムーミン」は、じつはテレスクリーン社が日本、フィンランド、オランダ3カ国の共同制作で全78話をつくったもの。
日本の伝統芸能であるアニメの制作・配信力と、フィンランドの教育力・技術開発力。2国のコンテンツパワーをかけあわせれば、ムーミンに次ぐヒットタイトルが生まれる日も遠くないのかも。