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山谷剛史の「アジアIT小話」 第111回

改造された床と戦う! 中国のロボット掃除機事情

2015年11月05日 12時00分更新

文● 山谷剛史

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ソファの下の空間に潜り込み、ホコリを吸い取る

ソファの下の空間に潜り込み、ホコリを吸い取る中国のロボット掃除機

 中国の家は基本、集合住宅なのに広い。貧乏ライターの筆者の中国の拠点もまた広い。

 しかも、日本人なら不思議に思うほど、中国では勝手にチリやホコリが床に層となる。町でも村でも全体的に乾燥していてホコリっぽいというのがあるのだが、そうしたためか家で靴下ないし素足で過ごす人は少なく、スリッパをはいたり、土足で歩いたりする。

掃除を1日でもしないとホコリが日本よりも迅速に目立つ

掃除を1日でもしないとホコリが日本よりも迅速に目立つ

 土足で室内を歩けば床は汚くなるのはもちろん、余計外から運んできた土によってホコリっぽくなる(ちなみに中国在住の日本人の家では、中国人の来客を含め、土足で家に入るのを厳禁とする家が多く見受けられる)。

 このように日本の家と比べれば無駄に広く、かつホコリがたまるので、ルンバのようなロボット掃除機がほしくなった。

意外に多い中国メーカーのロボット掃除機

科沃斯のページでは、PCのようにカスタムオーダーすることも可能

科沃斯のページでは、PCのようにカスタムオーダーすることも可能

 せっかくだから中国メーカーの製品を買おうと、中国で売られているロボット掃除機を調べてみれば、複数のメーカーからリリースされていることがわかった。

 その中でも「科沃斯(ECOVACS)」というメーカーは専業メーカーとして、多数のロボット掃除機をリリースし続けている。メーカーのホームページを見ると「17年間専門で製造」「毎年1億元(19億円)を研究開発費として投入。447の特許を有す」「ICS操作システムで空間を管理」と書いてある。

 ロボット掃除機というと、人工知能による空間の把握が製品の良し悪しを決めるひとつの要素だが、悪くなさそうである。

 ただこのメーカーや、メーカーの関連会社に多数ラインアップされる製品を見ても「より賢い」といった賢さの選択肢や紹介はなく、ざっくり「吸って拭くか、それとも吸うだけなのか」という点と、サイズとカラーリングと静音を選ぶかパワーを選ぶか、というところで選択をする。

 そこで筆者は科沃斯の子会社「TEK」がリリースした「S1」という「薄さ」「静音性」「拭かず吸うだけ」が特徴の製品を購入(700元弱、約1万3000円)して、部屋を掃除してみた。

部屋中をガンガン掃除してくれるが
ヒマワリの種は吸い取ってくれない

 S1は、多少漏れはあるだろうが、まず全体的に掃除はしてくれる。壁沿いだけでなく、壁に接しない部屋の中央も掃除している。壁や障害物にもガンガン当たって方向転換し、部屋の中央もだいたいホコリをとってくれる。

 だが、中国人のライフスタイルではよく落とすヒマワリの種や、果物の皮などは吸い取れず、これは改善してほしい点。

本体と付属するオプション。替えブラシなどがある

本体と付属するオプション。替えブラシなどがある

本体と専用充電器

本体と専用充電器

 本体と合体してバッテリーを充電する充電器が付属するが、バッテリー残量がわずかになると自走して戻る、といったインテリな動きはしないので、本体や付属のリモコンで停止させて充電器と合体させる。

 充電する前に吸い込んだゴミを確認すると、こんなにホコリがあったのか! と思うほどたくさん回収して驚かされる。

 本体裏には2つの高速回転するブラシと、中央にゴミの吸い込み口があり、はいて吸い込む。それなりの大きさのゴミは吸い込まないが、これは日本で売られているロボット掃除機も同じで、ホコリやごく小さなゴミや髪の毛などしかとらない。

 日本語では「ロボット掃除機」というので、掃除機相当の機能を期待するが、中国では「智能掃地机器人吸塵器」といい、この言葉を分解すると「智能(スマート)」「掃地(はき掃除)」「机器人(ロボット)」「吸塵器(塵吸いマシーン)」となるわけで、こちらの言葉のほうが実を表現している。

(次ページに続く、「家具の下にもぐれる薄型のロボット掃除機がトレンド でも、家具の下でフリーズすることも……」)

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