NTTドコモは10月30日、2015年度第2四半期の決算を発表した。営業収益は1兆2149億8700万円で前年同期比1.9%増、営業利益は4625億7400万円で同15.8%増で増収増益。主力の携帯事業が改善傾向にあり、コンテンツなどのスマートライフ領域が順調に拡大するなど好調な決算だった。これを踏まえて、同社は通期予想を上方修正。2013年度の水準である利益8200億円以上という中期目標達成に向けて、さらに取り組みを強化していく。
その他の指標では、営業費用が同210億円減の1兆7524億円、純利益が同576億円増の3171億円、設備投資は同730億円減の2195億円で、フリー・キャッシュ・フローは同1549億円増の2984億円だった。
営業利益の拡大は通信サービス収入が356億円と増加した。「月々サポート」による467億円のマイナス影響に加え、端末販売収入の減少による250億円の減収要因があったが、スマートライフ領域などの収入が781億円と拡大。コスト削減の拡大により端末販売費用、ネットワーク関連費用などが減少したことも功を奏し、全体で利益を積み重ねた。
通信事業は、営業収益が同1.1%減の1兆8070億円、営業利益が同9.2%増の4202億円だった。上期の純増数は190万契約で、前年同期比の119万に比べて1.6倍に拡大。「純増数の半数ぐらいはMVNO」(加藤薫社長)と寄与した。MNPは前上期のマイナス18万契約からマイナス4万契約まで改善。解約率は0.58%を維持し、「改善傾向を維持している」と加藤社長。月々サポートなどの費用で減収となったが、利益は拡大した。
端末販売数は前上期と比べて10%増の1204万台。そのうち新規販売数は149万台増の515万台だった。スマートフォン販売数は31万台増の707万台で、タブレット販売数は30万台増の102万台。タブレット販売の増加は「2台目需要が拡大」(加藤社長)と分析する。
スマートフォン利用数は前年同期比で17%増の3075万契約になり、そのうちのLTE対応比率は95%となった。加藤社長は「自身の周りの高齢者でもスマートフォンを使いたいという声が増えていて、全体としても7割ぐらいまでは達する」とみる。ただ、フィーチャーフォンへの要望も多いため「急激にスマートフォンばかりにはならないと思う」(同)。
前年度は1000億円規模の減収要因となった新料金プランは2378万契約になり、10月7日には2400万契約を突破して順調に拡大。もともと新料金プランは音声定額のため当初は収益が悪化するが、その後回復するとみられており、実際に音声ARPUは下げ止まり、増加に転じた。さらにパケット料金も、Mパック以上の選択率が約8割に拡大。パケットパック契約数における1GBの追加データ購入率も約4割になったことで、パケットARPUも増加した。音声通話の時間も上昇しており、音声定額によって「より通話をしやすくなった」(同)とみられる。
新料金プランでは、新たに1回の音声通話時間を制限して料金を下げた「カケホーダイライト」プランを提供しているが、新規契約時に同プランの選択率は約3割で「想定の範囲内」(同)。収支に与える影響も限定的と見ており、改善傾向は今後も継続する見込みだ。パケットARPUは2台目需要の拡大やトラフィックの増加も影響して拡大基調。13年第2四半期のARPUと比較すると250円のマイナスのため、加藤社長は「昨年と比べると回復しているが、目指すものはもう少し上」と強調し、さらなる拡大を目指す。
NTT東西の光コラボによる「ドコモ光」の契約数は90万契約に達し「間もなく100万契約に達する」(同)状況。ドコモ光が携帯電話事業に好影響を与えており、ドコモ光契約者の2割以上が上位パケットパックへ移行し、4割超が新たに携帯契約を行っており、5割超がシェアパックを選択。ドコモ光で月額利用料が割り引かれるため、より上位のパックを選び、家族で新たに加入してシェアする、という流れができている。
好調のスマートライフ領域は、コンテンツサービスの「dマーケット」、クレジット事業などの金融・決済サービス、オークローンマーケティングなどのグループ事業が牽引して営業収益は同18.3%増の2463億円、営業利益は同150.1%増の334億円と大幅成長。dマーケットは累計1395万契約に達し、ひとり当たりの利用料も1300円まで拡大した。同事業では通期で営業利益500億円を目標としていたが、これを700億円に積み増し、さらなる拡大を図る。
ネットワークでは、LTE基地局が11万5400局まで増加。理論値で国内最速の“PREMIUM 4G”対応基地局を全国640都市に7700局まで設置し、下り最大262.5Mbpsサービスを提供。今年度末には全体で13万局、PREMIUM 4Gで1万8000局まで増加させる。それでも効率化などによってコストは削減。設備投資は2195億円まで減らした。
全体のコスト効率化では上期だけで1300億円削減と、通期目標に対して前倒して進捗しており、当初予想の2100億円のコスト削減に対して2200億円に上方修正。通期の設備投資額は6300億円の予想から6000億円に修正。「6300億円の効果と同じものが6000億円で実現できるという担当部局の自信の表れ」と加藤社長は話し、ネットワーク増強や研究開発などの進捗には影響がないとの見通しだ。
好調な進捗を背景に、同社では通期予想を見直し、営業利益は6800億円予想から300億円増の7100億円に、純利益は4700億円から200億円増の4900億円に、設備投資は6300億円から200億円減の6100億円に、フリー・キャッシュ・フローは4000億円から800円増の4800億円に、それぞれ上方修正する。
加藤社長は、利益水準8200億円以上への回復という通期目標に向け、今上期は特にスマートライフ領域が好調で、通信事業も回復基調にあるとして、「2014年度に築いた礎をベースに、結果にこだわる2015年が順調に進捗している」とアピールした。