ソリューションベンダーとしてグンと加速、Dell World 2015レポート 第3回
ヴイエムウェアなど各社の独立性は? PCビジネスを売却するつもりは?
デル・エンタープライズ事業幹部に「EMC買収」懸念点を直撃
2015年10月26日 09時00分更新
デルはPCビジネスを売却したりはしない
ハース氏はまた、ライバルのヒューレット・パッカード(HP)がPC事業とエンタープライズ事業とを分社化したことに関連して、デル自身がPCビジネスをどうとらえているのかについても語った。
ハース氏: 顧客やメディアから、しばしば「PCビジネスはデルのコアビジネスなのか」と尋ねられることがある。わたしは「PCビジネスは、他のビジネスにメリットをもたらすビジネスだ」と答えている。
PCの事業を通じて、デルはCPUやメモリ、HDDなどのパーツサプライヤーにとっての最大の顧客となっている。エンタープライズ(サーバー)の事業だけでは「規模の経済」が働かないが、PCビジネスも一緒に持つことで、コモディティ化のメリットがエンタープライズ事業にも波及する。
PC部門を売却して、サーバーポートフォリオをきちんと作り上げられた企業はない。HPは戦略を間違ったのではないかと思っている。
現在、PC市場の縮小はあるが、大きなシェアを持つ3社(デル、HP、レノボ)がその他のシェアを吸収するようなかたちになっている。またWindows 10の普及スピードは、iOSのそれよりも早い。これからもPC事業は伸びると考えている。PC部門を売却する計画はない。
――パブリッククラウド市場についてはどう考えていますか。
ハース氏: デルでは今年(ハイブリッドクラウドソリューションで)マイクロソフトとのパートナーシップを発表した。また(昨年のDell Worldで発表した)レッドハット/OpenStackとのパートナーシップもある。
デルは、あらゆるクラウドプロバイダーにインフラ製品を提供できる。(クラウドプロバイダーという)顧客と競合するよりも、顧客の成功を手助けするほうが良いと考えている。特に、ハイパースケール市場は成長率が高く、デルはその市場に最適化された、競争力の高いプロダクトを有している。
さらにEMCのクラウド資産であるバーチャストリーム(Virtustream)やピボタル(Pivotal)、エアウォッチ(AirWatch)などもある。それを考えると今から楽しみだ。
日本市場ではパートナーシップとカバレッジ拡大を推進
デル日本法人では今年8月、平手智行氏が新たな代表取締役社長に、また松本光吉氏が執行役員副社長兼パートナー事業本部長に就任している。新体制下での日本市場に対する取り組みについては、次のように語った。
ハース氏: 日本法人では新たなリーダーとして平手氏、松本氏が就任し、“100日プラン”という包括的な計画を立てた。これは特に、パートナーシップの加速と市場カバレッジの拡大に対する投資を行うものだ。
このプランについてはマイケル(・デル氏)やわたしがレビューしており、本社としてサポートできることを検討している。今後、日本市場に対してもさらに大きな投資を実行していく方針である。
わたし自身も2週間後に日本を訪れ、主要なパートナーや顧客幹部を訪問する予定だ。楽しみにしている。
この連載の記事
-
第4回
ビジネス
注目の中でマイケル・デル氏が語ったEMC買収の可能性、戦略 -
第2回
サーバー・ストレージ
デル、4U/720TBストレージサーバーなど初の“DSS”製品発表 -
第1回
サーバー・ストレージ
Dell World 2015開幕、平手社長が「EMCとのシナジー」語る -
サーバー・ストレージ
ソリューションベンダーとしてグンと加速、Dell World 2015レポート - この連載の一覧へ