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山谷剛史の「アジアIT小話」 第109回

新しいPCの形が中国で誕生!? いろんなものを詰め込んだタブレットPC

2015年10月08日 12時00分更新

文● 山谷剛史

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簡易写真印刷屋を開業できちゃう!?

セカンドディスプレーとして使えそうである

セカンドディスプレーとして使えそうである

 さて、台形の不思議なPC「盒式平板電脳(箱型タブレットPC)」をどう利用するのか。Atom搭載の小さなPC同様に、持ち運んでモニターとキーボードとマウスに繋いでPCのようにも使えるし、テレビとワイヤレスキーボード・ワイヤレスマウスを繋いでメディアプレーヤーとして使うこともできる。

 ディスプレーに接続したとき、本体のディスプレーをUSBポート付きのタッチパネル機能搭載セカンドモニターと考えれば、作業がはかどる使い方ができるかもしれない。また子供や老人や株のトレーダー向けの入門用タブレットとして使うことも提案されている。

こういう店をローコストで経営できる

こういう店をローコストで経営できる

 この製品を紹介するときに、もっとも多くの店が提案している使い方が別にある。観光地や商業地で、客の印刷したいスマホ内の写真をコンパクトサイズで印刷する簡易印刷屋を開業して一儲けしよう、というのである。

「ケータイ用写真のファイルサーバー」

「ケータイ用写真のファイルサーバー」という使い方

 その証拠に、本製品にプリントサーバー的なソフト「風景線」をバンドルしているショップが多い。スマートフォンやタブレットで撮影した写真を選択して、本製品とスマホ/タブレットをBluetoothや無線LANで接続。それぞれの写真を証明写真用サイズ程度の小さなサイズに設定し、つなげてA4サイズで印刷する。

印刷システムとしてはこのような仕組み

印刷システムとしてはこのような仕組み

 なんとも予想外の使い方に思えるかもしれないが、中国ではインクジェットプリンターとPCとデジカメを用意しただけの記念写真屋は、テーマパークや大きな公園や動物園ではよくある。

 また、以前中国でプリクラをよく見たが、そのシステムもPCが使われており、フレームを決めて写真を撮った後、インクジェットプリンターから出力されるというものだった。

 観光地でデジカメが使われなくなり、スマホで写真を撮っている今、この製品とサービスは意外にも、その場で紙に残したい人々のニーズにかなっている。だからこそなぜタブレット同様の内蔵バッテリーが採用されないのかと不思議でならないのだが。

 中国以外のアジアの新興国でも、繁華街や大きな公園で、この手のシンプルな記念写真屋はいる。PIPOの不思議なPCが売れるかどうかはまた別として、このコンセプトは日本ではイロモノに見えても、海外では受け入れられるだろう。


山谷剛史(やまやたけし)

著者近影

著者近影

フリーランスライター。中国などアジア地域を中心とした海外IT事情に強い。統計に頼らず現地人の目線で取材する手法で,一般ユーザーにもわかりやすいルポが好評。書籍では「新しい中国人~ネットで団結する若者たち」(ソフトバンク新書)、「日本人が知らない中国インターネット市場」「日本人が知らない中国ネットトレンド2014」(インプレスR&D)を執筆。最新著作は「中国のインターネット史 ワールドワイドウェブからの独立 」(星海社新書)。

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