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業界人の《ことば》から 第164回

分社化でエンプラとプリント/PCを分離したHP、その戦略は吉と出るか

2015年10月03日 09時00分更新

文● 大河原克行、編集●ASCII.jp

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ワンストップの利点を敢えてはずすことは吉と出るか

 日本においては、個人向けプリンタ市場および企業向けプリンタ市場においても、セイコーエプソン、キヤノンという強力なライバルが先行。圧倒的な存在感を発揮している。その牙城を崩すことができるかが日本HPに課せられたテーマだといえる。これまでは旧・日本ヒューレット・パッカードという大きな傘のなかで、日本法人の業績が評価されていたが、新生日本HPにとっては、HP Inc.全体としての基幹事業であるプリンティング事業の日本での成果は、重要な要素として捉えられることになろう。

中央が日本HPの岡隆史代表取締役社長執行役員。

 その一方で、レノボやデルといった競合企業が、エンタープライズやサーバー、PCなどを統合する方向へと進むなか、ヒューレット・パッカードは、分社化という道を辿り、逆張りともいえる、事業を分離する方向へと舵を切った。これまでワンストップで提供されていた製品が、それぞれの会社に発注しなくてはならなくなるというデメリットを、競合他社は突き始めている。

 「そうした声は聞いている。だが、米本社の分社化が行われる11月を前にして、いまの時点では新たなことを発信しにくい状況にある。現時点では、継続的に事業を着々と進めている段階。どこかで明確なメッセージを発信しなくてはいけないとは考えている」と岡社長は語る。

 そのメッセージが、いつ、どんな形で発信されることになるのか。

 分社化のメリットを、顧客やパートナーに対して明確に届けることができなければ、出足のつまずきにへとつながることになりかねない。

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