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松村太郎の「西海岸から見る"it"トレンド」 第84回

iPhone 6sをいち早く触れてみて、スマホの進化の未来について考えた

2015年09月22日 21時01分更新

文● 松村太郎(@taromatsumura) 編集● ASCII.jp

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ハード進化からソフト進化を経て、デザイン進化へ

 筆者は「スマートフォン新時代」という書籍で、「ケータイはハードウェア進化から、スマートフォンはソフトウェア進化へと移行した」という話を書きました。

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 日本のケータイ全盛だった時代は、携帯電話自体の普及期でもあり、とにかくたくさんの台数が売れ、また3ヵ月に1度新製品が登場し、ハードウェアの進化による新機能がたくさん搭載される、非常に面白い時期でもありました。ちょうど筆者が仕事を始めた10年前が、その頃だったと思います。

 しかし2008年にiPhone 3G、そしてApp Storeが登場してから、スマホは基本ハードウェアに留まり、またAppleとGoogleというOSを握った企業が基本機能を規定するようになりました。そして使い方のアイディアは、ケータイキャリアでも端末メーカーでもなく、世界中の開発者の手に委ねられました。

 これが、ソフトウェアの進化への移行です。しかしハードウェアの進化が止まったわけではなく、より自由に互換デバイスを作れるAndroidが世界を席巻しているのも、ハードウェアの性能と価格の多様化の結果でした。

 AppleはiPhoneで、ハードウェアとともにOS部分の両方で進化を進めています。今回の3D Touchやカメラの新機能は、ハードウェア主導の進化であり、まだまだハードウェアには加えるべき新しいアイディアが残されていることもわかりました。

 ただ、Appleの強みは、ハードウェア、ソフトウェア双方の進化をコントロールできる点です。またこれらをまとめて「体験」へと変化させる視点を併せ持っていることも重要です。

 結果として、iPhoneがハイエンドスマートフォンでほぼ唯一生き残った存在になりました。体験にまとめた際の結果を重視しているからでしょう。この観点からみても、iPhone 6sシリーズは、手堅くその地位を守ることができるだけの戦力を備えていると考えています。

体験の進化なのか、テクニックの追加程度なのか

 今回の試用期間の中で、体験にフォーカスしたiPhone 6sシリーズは非常に面白いものでした。ハード、ソフトにデザインを加え、体験を作り出す。そんなAppleならではの魅力のつくりかたを、最大限に発揮した、「非常に正しいプロダクト」と呼ぶことができるでしょう。

 ただ、3D TouchやLive Photosといった新しく経験した体験が、スマートフォンにおける「体験の進化」と位置づけられるのかどうかは結論を出すには早計でしょう。

 ソフトウェアには開発者という世界中に遍在するアイディアがついています。しかしハードウェアの進化には限界を感じつつあるのも確かです。これらの新しい機能は、我々の生活を変える本質的な体験ではなく、今までとの違いを作り出すためのテクニックと見ることはできます。

 前述のとおり、3D Touchを習得しなければ利用できないという機能はありません。ただ、ソフトウェアとデザインによって、3D Touchを使うと、よく使う様々な操作を少ない手順で行なうことができるようになります。

 実際、画面遷移やタップ数が減り、1つの動作で数秒ずつ時間を短縮する「実利」も体験しました。そして何より、使いこなせるようになってくると、今までにない「心地よさ」「操作している感覚」が得られました。非常に「道具」らしい仕上がりだったのです。

 インターフェースの心地よさはあくまで主観的なものであるため、やはり筆者ひとりでは、これを体験の進化と位置づけることはできません。あとは、iPhone 6sシリーズを体験した人々が、どれだけ「操作していて気持ちよい!」と感じるか次第です。

 新しいiPhoneが、体験の進化をもたらすのか。発売そのものも楽しみですが、それ以降、1ヵ月から2ヵ月過ぎたあたりでの使われ方にも期待していきたいと思いました。


筆者紹介――松村太郎

 1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。米国カリフォルニア州バークレーに拠点を移し、モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。

公式ブログ TAROSITE.NET
Twitterアカウント @taromatsumura

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