コンタクトセンターから企業内コラボレーションへと拡大、中長期の事業戦略を説明
「来春にはクラウドUCを投入」インタラクティブ・インテリジェンス
2015年09月11日 09時00分更新
コンタクトセンター向けソフトウェアベンダーのインタラクティブ・インテリジェンスは9月10日、事業戦略説明会を開催した。来春には新たなクラウド型ユニファイドコミュニケーション(UC)サービス「PureCloud」を国内投入予定で、幅広い業種の企業への認知度向上を図っていく方針だ。
1994年に創業した米インタラクティブ・インテリジェンスは、現在日本を含む16カ国に拠点オフィスを置き、97カ国に6000社以上の顧客企業を持つ。ガートナーの「コンタクトセンター・マジック・クアドラント」(2014年版)では、シスコ、ジェネシス、アバイアと共に「業界リーダー」ポジションに位置づけられている。「リーマンショック後の年も含め、売上は7年間連続で2ケタ成長を続けている」(リッチー氏)。
「多機能、オールインワン」が特徴のコンタクトセンター向け製品
国内では現在、オンプレミス型のコンタクトセンター向けソフトウェア「Customer Interaction Center(CIC)」と、そのCICをクラウド型で提供する「Communication as a Service(CaaS)」という2つの製品/サービスを展開している。CICの大手国内顧客としては新生銀行や通販会社のJIMOSなどが、またCaaSの顧客としてはASKULやバンダイなどがいる。
CICの製品コンセプトは「多機能、オールインワン」だと、リッチー氏は説明する。旧来のコンタクトセンターシステムでは個別に製品を導入/設定/管理する必要のあった各種機能群(PBX、IVR、通話/画面録音、クオリティマネジメント、オートダイヤラー……)を、CICは単一のプラットフォームで提供できる。
「顧客の求める機能をシンプルに、オールインワンで提供している。また、顧客の成長に応じて機能を追加していくことができる。新しい機能を一時的に“レンタル”し、試すことも可能だ」(リッチー氏)
近年重要視されているマルチチャネルの顧客対応も、CICならば単一のアプリケーションから可能だ。そのほか、Windowsベースのソフトウェアであり顧客が自ら容易に設定変更できる点、マネージャー/スーパーバイザー向けのダッシュボードがiPadやモバイルPCから利用できる点、日本語対応がしっかりなされている点などが特徴だと、リッチー氏は説明する。
また「Salesforce CRM」や「Oracle Service Cloud」「Microsoft Dynamics CRM」「Gmail」「SAP ERP」といった、業界標準のビジネスアプリケーションとの連携機能も備えている。「なるべく顧客が独自に開発することなく、使えるように」(リッチー氏)。
機能面ではCICと同じCaaSは、国内2カ所(東京、北九州)のデータセンターリージョンから、24時間365日の運用監視体制のもとで提供されている。顧客側のクラウドニーズの高まりを受け、すでに米国では7割、オーストラリアでは8割の新規提案がクラウド型(CaaS)になっており、日本でもCaaSへの問い合わせは大きく増えつつあると、リッチー氏は説明した。
来春投入の「PureCloud」で企業内コラボレーション活性化を提案
“3本目の柱”として、インタラクティブ・インテリジェンスが来春の日本市場への投入を予定しているのが、新たに開発されたクラウドサービスのPureCloudだ。Amazon Web Services(AWS)クラウド上で稼働するPureCloudは、すでに米国とオーストラリアで提供されている。「米国では、政府系機関で2万人規模の導入事例もある」(リッチー氏)。
PureCloud Collaborateでは、グループチャットやビデオ会議、画面共有、文書共有などの機能を通じて、企業内のコミュニケーションやコラボレーションを活性化する。たとえば、登録されている「得意分野」から従業員を検索し、すぐにビデオ通話を開始して業務の相談をするようなことができる。
中長期の事業戦略は「認知度向上、営業エリア拡大、代理店強化」
リッチー氏は、日本市場における今後の中長期的な事業戦略として、上述のPureCloud発売に加えて「認知度向上」「地方進出」「代理店強化」の3点を挙げた。
現在は、旗艦製品のCICを基軸としたパートナー体制となっている。今後、販売製品の増加に伴って既存パートナーの強化を図る一方で、同社がまだタッチできていない分野(業界、地方)に強いパートナーの拡充を進める。なお同社では、10月に大阪オフィスを開設し、西日本での営業体制を強化する方針。
また、現在の顧客はコンタクトセンターを持つ企業やアウトソーサーが中心だが、UC製品の投入もあり、より新しい業種の企業での知名度向上も図っていく。デジタルマーケティングに主軸を置き、すでにその活動を活発化させていると、リッチー氏は説明した。