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ゲーマーは“無線”を避けがち? プロゲーマーが語る高速無線LANルーター最新事情

2015年09月08日 17時45分更新

文● 平澤寿康 編集●ゆうこば/週刊アスキー 撮影●高橋智

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4×4対応高速無線LANルーター『RT-AC87U』。

デュアルバンド対応高速無線LAN拡張ボード『PCE-AC68』。

 5GHz帯域のIEEE802.11acの登場によって、無線LANの快適度は以前に比べて大幅に向上し、スピードも有線LANと同等以上にまで進化してきた。また、5GHz帯域の無線LANでは、2.4GHz帯域の無線LANのような混雑や干渉といった問題も非常に少なく、品質も高まっている。

 ただ、そういった無線LANの進化がありながら、“安定性やレスポンスに不安がある”という理由で、無線LANを避け有線LANを使っているPCゲーマーは非常に多い。しかし、本当に無線LANだとゲームプレイに支障が出るのだろうか。

 そこで、実際にプロゲーマーとして活躍しているStanSmithさんに、ASUSの無線LANルーター『RT-AC87U』と、拡張ボードタイプの無線LAN子機『PCE-AC68』を使って、無線LAN環境でのオンラインゲーム快適度のチェックを依頼。古参ゲーマーのジサトラカクッチ、自作初心者のジサトラゆうこばの質問に答えてもらった。

写真右からプロゲーマーのStanSmith(スタンスミス)さん、ジサトラカクッチ、ジサトラゆうこば。

無線LAN環境の構築は難しくない

ジサトラゆうこば:ご自宅では、もともと有線LANでネットワークを組まれているんですか?

StanSmithさん:昔は、ノートPCで無線LAN接続していたこともありました。でも、ゲーミングPCをきっちり揃えてからは有線LANで構築しています。

ジサトラゆうこば:今回、ASUSの無線LANルーター『RT-AC87U』と拡張カードタイプの無線LAN子機『PCE-AC68』を使ってもらったんですが、製品としてどのような印象でしたか?

StanSmithさん:まず、手にして思ったのは、なかなか強そうなデザインといったところですね(笑)。やっぱり、大きなアンテナが外にあるだけで、強そうって感じます。あと、PCのマザーボードはASUSなんですが、ASUSのマザーボードにASUSの無線LAN子機拡張ボードを取り付けて、ASUSの無線LANルーターに繋げていると、とりあえず安心というのもあります(笑)。とにかく、同一メーカーで固められることでの安心感は重要ですね。

ASUSルーターの第一印象を「強そう」と語るStanSmithさん。ジサトラのマスクも被ってもらい一日客員講師に。椅子も座り心地バツグンのゲーマー御用達『AKRacing NITRO ホワイト』(4万2800円、テックウインド)だ!

ジサトラゆうこば:実際に無線LANに接続する環境を構築していただく必要がありましたが、その過程は難しくなかったですか?

StanSmithさん:無線LAN子機が拡張ボードタイプだったので、まずはPCを開けるところからやる必要があったのはちょっと面倒でしたが、導入自体は簡単でした。たぶん、グラボとか拡張カードの取り替えとかができる人だったら簡単でしょうね。

 あと、USB接続の無線LAN子機よりはたぶん問題は少ないんじゃないかと思います。たとえば、USBタイプのサウンド機器だと、急に音が出なくなったりとかの問題が出ることがあるんですね。確かに使い勝手はUSBタイプの方が簡単で便利でしょうけど、電源供給とかも合わせて、やっぱりUSBよりも拡張ボードの方が安心して使えると思います。

ジサトラカクッチ:ゲームをプレイする上で、ルーターの設定で必要になるものとかはあったりするんですか?

StanSmithさん:以前はゲームによって特定のポートを開放したりと、色々と設定が必要でした。でもいまは、UPnPでポート設定は自動的に行なわれますし、ゲームプレイのためにルーターで特定の設定が必要になることはほとんどないです。

プロゲーマーも納得!! 無線LANでも対戦ゲームは十分快適にプレイ可能だった!

ジサトラカクッチ:私は”有線LAN主義者”というか、ちょっと古くさいゲーマー感覚の人間なんですが、今回実際に無線LAN接続のデスクトップPCでゲームをプレイしてみてどうでしたか?

StanSmithさん:実際に、5GHz帯域の11ac 3×3で接続して、スクウェア・エニックスの『LORD of VERMILION ARENA』をプレイしながら、プレイ動画配信もやってみたんです。で、コメントで「今、無線LANでプレイしているので、何かおかしいことがあったら指摘して」と言ってたんですが、動画配信が止まることはなくて、ゲームも快適にプレイできました。7対7のプレイでエフェクトがたくさん来ても、ラグを感じることはなかったです。

ジサトラカクッチ:無線LANは11acになってアンテナが増えて「有線と同じぐらいスピードが出るようになりました」と、言われてはいますが、pingが遅いんじゃないかといった印象があるんですよ。僕はそこが気になっているんです。

StanSmithさん:pingに関しては、有線LANと無線LANを比べると有線LANのほうが優れているのは明らかだと思います。数字を見ると差はあると思いますけど、実際にゲームをプレイする場面ではわからないと思います。

ジサトラカクッチ:なるほど。プロゲーマーのStanSmithさんがそうおっしゃるのなら、無線LANでもゲームは問題なくプレイできると考えてよさそうですね。

ジサトラカクッチは根っからのPCゲーマー。オンラインゲームでの無線LAN利用については懐疑的だったが……?

StanSmithさん:もちろん、よほど酷い環境だと話は別ですが、ゲーマーが自宅でゲームをプレイする普通の環境なら、大きな問題はないと思いますよ。

ジサトラカクッチ:ゲームのプレイ中は問題なかったかもしれませんが、ゲームのログインなど、ゲームに入っていく過程でも問題は感じなかったですか。

StanSmithさん:感じなかったですね。ただひとつ気になったのは、ゲーム外でブラウザーを使ってWebサイトを見るときなどに、パパパッとサイトを切り替えて表示しようとすると、たまに止まることがありましたね。たぶん、通信が詰まった感じでしょうね。ただ、その時には自分のiPadやスマホとかも無線LANに繋いで、負荷をかけながらだったので、そういった問題が出たのかもしれません。

ジサトラゆうこば:その時に、スマホ側ではタイムアウトとかは出ませんでしたか?

StanSmithさん:それはなかったです。最近は、スマホとかで対戦ゲームをやることも多くて、自分の中で“無線LANでも対戦ゲームはプレイできる”という感覚になっているからかもしれませんが、ゲーム中に違和感はなかったです。これがFPSゲームなどで、一瞬を競う大会などではまだ(無線LANの利用は)ちょっと恐いかもしれませんが、カジュアルに遊ぶなら全然問題ないと思います。デスクトップPCに無線LANを拡張してゲームをプレイするというのは始めてでしたが、案外いけるんだな、という感じでした。

ジサトラカクッチ:今回、デスクトップPC用の無線LAN子機は、拡張ボードタイプのものを使ってもらいましたが、実は私、無線LAN子機は拡張ボードタイプを推しているんですよ。USB接続の無線LAN子機だと、感覚的に得体のしれないボトルネックがあるように感じるんです。拡張ボードタイプなら、PCI Expressに直接通信の信号が伝達されるので、有利に感じるんですよね(笑)。今回StanSmithさんに体験してもらった結果を聞いて、僕も今後は、もしLANケーブルの引き回しが難しかったりする場合には無線LAN化しちゃうかもしれません。

StanSmithさん:今回は、同じ部屋にルーターとPCを置いた、かなり近い距離で試したので、ラグを感じることがなかったのかもしれません。ルーターとPCの間に壁などの遮蔽物があったり、1階と2階といった状況だと、また変わってくるかもしれませんね。そこのテストはできなかったので、次はそういった環境でも検証してみたいと思います。

ASUSの無線LAN製品はゲーマーに最適!

ジサトラゆうこば:今、色々な無線LAN製品が販売されていますが、どこを見て選べばいいのかよくわからないこともあると思います。たとえば、ゲームをプレイするという観点での無線LANルーター選びでは、どういったところをチェックすればいいとお考えですか。

StanSmithさん:オンラインゲームをプレイしている時のデータ通信量は、それほど多くないんです。なので、スピードよりも安定性やレスポンスを重視した方がいいと思います。ゲームのクライアントをダウンロードしたり、アップデートするときには、スピードがインストール時間に直結するので、スピードが不要というわけではないんですけど、やっぱりゲームプレイという観点だと、安定性やレスポンスですね。

自作PC初心者のジサトラゆうこば。スマホや取材用のノートPCではガンガン無線LANを使っているが、ゲームで使うとなると少し不安なことがある様子。

ジサトラカクッチ:そういう意味だと、無線LAN側の安定性やレスポンスも重要かもしれませんが、その先のインターネット接続回線の品質も重要ですね。以前ADSLを使っていたときと、光回線に変更した後とでは、やっぱり体感で差を感じましたしね。なので、いまは有線LANか無線LANかという部分はそれほど重要じゃなくなってきているのかもしれません。

StanSmithさん:2.4GHz帯域の無線LANだと、隣で電子レンジ使われると通信が切れるといったこともありましたが、5GHz帯域の無線LANを使っていればそういうこともありませんしね。5GHz帯域の無線LANを使う限りには、実際に試してゲームプレイも問題なかったですし、安心して使えると思いますね。

ジサトラカクッチ:先ほどもありましたが、ASUSは速度や性能に優れる無線LANルーターを用意しているだけでなくて、きちんと拡張ボード型の無線LAN子機も用意しているということを考えると、ゲーマーのことをよく考えてくれているのかもしれませんね。

StanSmithさん:5GHz帯域や11ac対応の無線LANルーターを使っているのに、デスクトップPCは有線LANで接続している人も少なくないと思います。家族に反対されながらも、ケーブルをはわせてつなげたりして。でも、5GHz帯域の無線LANなら、もうその必要はないでしょうね。また、今回使った無線LAN子機の『PCE-AC68』は、大きなアンテナが3本あって、見た目の安心感もそうですが、感度のいい場所にアンテナを設置できるという利点もありますね。

『RT-AC87U』のインターフェース。4本のアンテナは取り付け式。USB端子もあり、外付けHDDを簡易NAS化したり、プリンターサーバーとしても利用できる。

ジサトラカクッチ:僕はASUSのルーターでいいなと思っている部分があるんです。それは、高性能なCPUを搭載しているところです。低価格なルーターだと、結構貧弱なCPUを使っていたりして、それだとほかの機能の処理にパワーを取られて、無線LANにも影響が出そうな気がするんです。でもASUSのルーターはクロック数1GHzのデュアルコアCPUを搭載しているので、『Adaptive QoS』(※編集部注:通信帯域を制御する機能。サービスごとの優先設定などもGUIで簡単にできる)といった機能も余裕で制御できて、高機能でも無線LANのスループットが高いんじゃないかと思うんですよ。

StanSimthさん:それはありますね。個人的には、QoSとかの機能を使った場合には、処理がワンクッション入ることになるので、そのぶん不利になるような気もしていました。でも、RT-AC87Uだと全く気になることはなかったので、やっぱりCPUの処理能力が優れるという点が効いているんだと思います。

ジサトラカクッチ:もうひとつ重要なのは、今回使ってもらったRT-AC87Uは『マルチユーザーMIMO(MU-MIMO)』という機能をサポートしている点です。これは、MU-MIMO対応機器に限られるんですが、これまでできなかった複数の無線LAN子機との同時通信が可能になるんです。そのため、通信帯域に余裕が出ます。あと、複数のスマホを同時につなげてゲームをする場合でも、それぞれが同時に通信できるので、レスポンスも上がることになるんです。今後登場するスマホでは、MU-MIMO対応製品が標準になっていくと思うので、この点も大きなメリットになると思います。

StanSmithさん:いまだと、家族みんながスマホやタブレットを使っていますし、それはかなり魅力的ですね。MU-MIMO対応子機じゃないとメリットを享受できないという点は少々残念ですけど、今後増えてくるということなので、将来性を考えると重要な機能と言えますね。帯域の有効活用という意味で、ゲーマーにとっても見逃せないと思います。そう考えると、ASUSの無線LANルーターや拡張ボードタイプの無線LAN子機は、ゲーマー向けと言えますね。

ジサトラカクッチ&ゆうこば:今回は、実際にいろいろ検証していただいてありがとうございました!

プロゲーマーであり、ゲームキャスターでもあるStanSmith氏。6タイトルのFPSで優勝経験あり。各種ゲームイベントなどで司会やゲストとして活躍中。

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