三菱重工業は8月26日、オマーンの財閥SBG(Suhail Bahwan Group)とともに、米ベンチャー企業Altaeros Energiesに出資することで合意したと発表した。
Altaerosは円筒形の風船をヘリウムガスによって地上約600mに浮上させ、円筒の内側にある風力タービンで発電する浮体式風力発電の研究開発を行っている企業。浮体式発電装置はワイヤーで地上に係留され、有線で地上に送電する。すでに1/1スケールの装置を制作し、実証実験を進めている。
地上近くの風よりも上空を吹く風のほうが強いことから、従来の風力発電ではより高いタワーを建てていたが、浮体式風力発電では風車設備(大型のもので200m前後)よりも、はるかに高い上空の風を使うことで効率は2倍以上になるという。設置のための用地確保やタワーを含めた地上送電設備の工事費用を、大幅に減らすことができるほか、機器のメンテナンスも風車タワーに登って行なうのではなく、ケーブルで風船を引き下ろして地上で行なえるというメリットがある。
浮体式風力発電はトレーラーで運搬して素早く設置できるという利点もあり、三菱重工では島嶼や僻地、災害地域などの電力供給に適しているとしている。また、風船に通信設備を搭載することで通信をはじめとするサービス提供に活用できるとしている。
なお、同種の浮体式風力発電はさまざまな企業が進めており、グーグルではGoogle XプロジェクトとしてMakani Powerにて飛行機型の凧を用いた実証実験を行っている。