事故発生から数日で関心が薄れていく……
天津大爆発のネットの反応
天津の倉庫大爆発事故が発生した8月12日深夜から早くも2週間が経過した。いまだ現場の写真は限定的で、現場の今の状況がわかるとは言いがたい状況だ。
海外メディアには、中国発の公式な情報と、中国人のSNSなどで発信される情報、それに中国国外に流れる中国に都合の悪い情報が流れているが、それでも事故の情報は断片的で不足している。そんな中、今回は事故について中国とSNSの今、という視点で見ていこうと思う。
今、市民記者の情報発信の手段は「微博」(Weibo)と「微信」(WeChat)になっている。検索ツール「新媒体指数捜索」(http://www.gsdata.cn/)によると、天津爆発に関する文章は5万6000、総既読数は1億3800万となっている。その多くが微博と微信経由で読まれている。
データで見ると、Twitterの模倣から独自機能をつけ別物となった「微博」においては、つぶやき分析ツール「微指数」(http://data.weibo.com/index/)が公開されているが、初日に関心がピークに達し、翌日以降一気に関心が減少するという図がみられる。
普段は天津についてのつぶやき数は5万程度だが、13日に1297万になったのをピークに、14日には385万、15日には172万、17日には77万、21日には22万まで下がった。これほどの大事故でも一気に関心は減っている。
GoogleTrendの百度版こと「百度指数」(http://index.baidu.com/)では、「天津」の検索ワードに対して、8月13日に164万という今までにない非常に高い数字が出た(平時は2~4万程度)。
百度指数の現行バージョンでは、2011年からの状況しか知ることができないが、他の大きな事故でもここまでの数字は出てこない。高速鉄道脱線事故の数字は16万、6月下旬に中国を襲った台風でも130万程度である。
スマートフォンでの検索の利用実態に、2011年と2015年で普及率から大きな差があるので単純比較はできないものの、それを加味しても非常に大きな数字である。
百度指数によれば、関心があるのは検索者の男女比は3:1で男性が多く、年齢別では30代がもっとも高く、続いて20代が高くなっている(インターネット利用者では20代がもっとも多い)。
8月13日に多くの人が事故を気にして検索したことで、164万という数字が出たのだろう。しかし、14日には67万、15日には35万、18日には15万、21日には6万と、やはり一週間でかなりトーンダウンしている。
また、当の天津の人々も同じように関心が薄れている(これは事故現場の「塘沽」という地名で検索しても同様の結果が出る)。
人の往来も5日後には平常化
人々の移動がグラフィカルで見られる「百度遷徙地図」(http://qianxi.baidu.com/ )という地図サービスも紹介したい。
これによると、13日は天津から北京への人の動きが目立ち、14日に天津から北京に移動するピークが見られた。
しかし、17日には平時と同様の状況に戻っている。大事故が発生しても、数日で続報を見なくなり、天津の多くの人ですら諦めや不安を抱えているかもしれないが、無関心となっていくようだ。
(次ページに続く、「政府公認のSNS「微博問政」で情報開示に努めるも……」)
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