それでもやっぱりVAIO Zが欲しい!
こうした利点を並べてみると、MacBook Proのよさが際立つ。しかしそれでも、実際にどちらが欲しいかと問われると、筆者は「VAIO Z」と答えるだろう。
決め手はズバリ、タッチパネルの有無である。筆者が実際にMacBook Proを使っている際、ウェブブラウジングやメール送信などの身近な操作シーンで、何度もディスプレーをタッチしそうになった。
やはり人間の手に勝る直感的入力デバイスはまだないのだ。パソコンでも一度タッチパネルの直感的な操作感に慣れると、なかなかタッチなしには戻れないのだ。
実に惜しいのは、Mac OS Xのデスクトップには、タッチパネルで使いやすそうな、大きなサイズのアイコンが多用されている点だ。MacBook Proにその利点を遺憾無く発揮するタッチパネルが搭載されていないのは非常に残念だ。
入力デバイスという面でもうひとつ。キーボードはMacBook ProよりもVAIO Zの方がリジッドだ。「Pro」と名が付く割にMacBook Proのキーボードはペラペラ感、パタパタ感がある。この点はVAIOがこだわりをもって開発したのが伺える。タイピング時にキーのズレが少なく、安定している。
入力デバイスは生産効率に直結する。マシンの性格からしてもこだわるべき重要なポイントになるはずだ。そういう意味でVAIO Zのキーボードは「スジが通っている」と言える。
タブレットスタイルにした時のウェブブラウジングも快適で、生粋のラップトップであるMacBook Proにはない特徴だろう。アップルの考えとしては、この用途はiPadに一任しているのかもしれない。しかし広い机の上で使うのならまだしも、モバイル環境で似たようなサイズのディスプレイが複数あるというのは、邪魔でしかない。1画面で住むならそれが勝るはずだ。
重量差も見逃せない。VAIO Zはカタログスペックで1.34kg、MacBook Proはカタログスペックで1.58kg。たかが240gの差と感じるかもしれないが、実際に持ち比べてみると、ハッキリとした差があるのも事実だ。タッチパネルとフリップヒンジ、そして重量差から、VAIO Zは電車で移動している際にも「取り出してもいいかな?」と思えるが、MacBook Proは「できれば出したくない」と感じた。
仕事の相棒として日々を共にするコンピュータなので、やはり使えるシチュエーションは多ければ多いに越したことはない。
(了)
天野 透(あまの とおる)
1987年生まれ、神戸出身の若手ライター。某家電量販店で販売員を経験した後に、一念発起して都内の大学へ進学。大学院で文学を学びながら、二足のわらじでライター稼業を続ける毎日。信念は「高度な社会に物語は不可欠である」。何事も徹底的に楽しみ尽くしたい、凝り性な人間。
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