それほどの効率で燃料電池ならば、ガソリンエンジン車や火力発電などを代替して社会に変革をもたらしそう
超高効率、変換効率80%の燃料電池に向けての理論設計に成功
2015年07月29日 18時07分更新
九州大学および東京ガスは7月29日、燃料電池の高効率発電を実現する技術の理論設計に成功したと発表した。
水素ガスで発電して走る燃料電池車が現在話題となっているが、水素ガスや天然ガスを用いた設置式燃料電池も各種施設の非常用・僻地用の発電装置などとして普及が進んでいる。燃料電池の発電効率は現在実用化されているもので45~55%LHV(Lower Heating Value:低位発熱量)となっているが、九州大学次世代燃料電池産学連携センターでは、さらに超高効率を追求して東京ガスと共同研究を進めていた。
燃料電池の中でも特に発電効率が高い固体酸化物形燃料電池(SOFC)を用い、燃料電池セルを多段化。セルスタックを流れるうちに燃料組成も動作温度も変わることを踏まえ、効率が最大となるような構成のパラメーターを最適化した。
さらに、固体電解質内で電荷担体(移動イオン)が従来の酸化物イオンではなくプロトンに置き換えた際、発電効率としては80%を超える超高効率が実現することも見出した。理論設計を確かめるため、反応システムの数値実験を行ったところ超高効率発電が可能という。
まだ理論設計の段階であり、高いプロトン(水素イオン/H+)輸送を持つプロトン導電酸化物の開発、それを用いる燃料電池が開発されているわけではない。とはいえ、現在利用されている燃料電池の効率をこれほどまでに上回る燃料電池が開発されれば、現在の燃料電池のみならず火力発電、ガソリンエンジンなどを代替する革新的なものになる可能性は高い。