力をつけだしたディーゼルエコカー
7月4~5日に富士スピードウェイで開催されたスーパー耐久シリーズ第3戦「富士SUPER TEC」。シリーズ最長の8時間というレース時間のこのレースは、シリーズポイントが1.5倍になるという非常に重要なレースでもある。そのためか、エントリー台数はなんと56台!
今年からスーパー耐久に挑むクリーンディーゼルSKYACTIV-Dを搭載のマツダデミオXD「DXLアラゴスタNOPROデミオSKY-D」は、雨が降ったり止んだりの読みにくい天候の中、AドライバーとBドライバーのタイム合算で行なわれる予選で、エントリー8台のST-5クラスの中で、5位のポジションを得た。
チームとしてはいまだ車重が重いといわれるが、それでも重箱の隅をつつくような軽量化が功を奏していることは間違いない。地道な開発が実を結んだとも言える。しかし、Bドライバーの予選中にペナルティーがあったとされ、実際のグリッドは最後尾に変更されてしまった。前回の菅生戦も予選最下位だったので、3戦連続最後尾スタートという、なんとも不名誉な幕開けとなった。
ここで、前戦の菅生「スーパー耐久シリーズ2015 第2戦 SUGOスーパー耐久3時間レース」も少し振りかえる。
クリーンディーゼルのデミオは、同じクラスのライバルと比べて4km程度のサーキットでタイムが5~7秒ほど遅いが、2倍近い燃費を誇るため、ライバルとのピット回数の差が勝敗を決するポイントとなる。3時間レースの規定ピット回数は2回で、ライバルは概ね4回の給油ピットインを行なうのが通例だ。
計算すると、ピット回数の差は3回でトップと同一周回となれるのだが、3時間レースでは2回しか差が無い。そこで考え出した奇策が0周ピットイン。
ローリングスタートの際に先導するセーフティーカーとともにピットロードに入り、ピットロードでスタートラインを越えることでスタートを成立させてそのままドライバー交替。スタート周であればトップとの差はそれほど開くことがない上、ディーゼルのデミオであれば計算上、ギリギリ給油の必要がない。大事をとって1回給油すれば問題ないので、0周ピットインは作戦としてはかなり有効だった。
この作戦が功を奏し、出走7台中4位という順位でチェッカーを受けることができた。表彰台まであと一歩!
この菅生戦の結果を踏まえれば、作戦が見事にハマれば表彰台も夢ではないのではないか? という期待を抱かずにはいられない。しかし、現実はそれほど甘いものではなかった……。
(次ページでは、「天候がすべての命運を決した」)