カシオ計算機は22日、世界初の液晶付きデジタルカメラ「QV-10」発売20周年を記念したプレスイベントを開催。会場には歴代の代表的な同社デジタルカメラが展示されていた。
QV-10は1995年3月10日に発売されたデジタルカメラで、6万5000円という価格ながら発売後1年間で20万台を販売。個人向けデジカメ普及のきっかけとなったモデルとして認知されている。
カシオの代表的なデジカメを写真で紹介
そもそもはカメラ付きテレビだった!?
今回のイベントでは、QV-10発売当時に「衝撃的に惚れ」、「何台も購入」し、持ち歩いたら女の子にモテまくったというデジタルメディア評論家の麻倉怜士氏と、QV-10開発者の末高弘之氏、カシオ計算機 執行役員の中山仁氏が対談を行なった。
まず、末高氏がQV-10開発までを振り返った。はじまりはフィルムカメラを何か変えてみよう、ということで製品化したのが電子スチルカメラ「VS-101」。5インチフロッピーに画像記録するカメラで、フィルムの残り枚数を気にする必要がなく、テレビにつなげれば即画像確認が可能だった。
VS-101はフロッピー記録だが基本的にアナログで、カメラをデジタル化することで小型化できないか、という模索がはじまる。その中で開発されたのが1991年のデジカメ試作機。
デジタル記録を実現したが、発熱がすごく、とても重いものとなった。熱対策としてファンを取り付けたものの、その場所がファインダーに当たる部分で、ファインダーのないカメラになってしまった。
この後、液晶を取り付ける試みが行なわれ、この使い勝手に確かな手ごたえを感じた末高氏。しかし、デジカメ開発の失敗から、社内で開発の継続が不安視されるようになる。
ちょうど同じころ、ポケットテレビの延長としてのカメラ付きテレビを企画していた中山氏がQV-10の開発に加わる。
ちなみに、カメラテレビの企画書には、ビジュアルメモ、コミュニケーション、データバンクという3つの基本コンセプトが盛り込まれていたが、これは今のスマホが体現しており、ある意味スマホの機能を先取りした発想だった。
企画案では分離型だったカメラは回転式となるなどの仕様変更はあったものの、カメラテレビの試作機が完成。しかし、それは製品化されず、液晶付きデジタルカメラのQV-10として製品化された。
当初、QV-10は月産3000台の予定だったが、前述のとおり大好評で1995年の夏には月産1万台に増産。1年間で20万台を売り上げる結果となった。
その後同社は、世界最薄のカードサイズカメラや、沈胴式レンズ採用カメラ、1000万画素超のデジタルカメラなど意欲的な製品を投入。2011年にはフリースタイルカメラ「EX-TR100」が中国で大ヒットし、今でも自撮りカメラの代名詞としてブランド力を保ち続けているという。
そんな同社が今後目指すデジカメの形として、すべてを動画で撮影する「静止画/動画ボーダーレス化」や、自動認識機能による「シャッターレス化」、ネットワーク接続による「メモリーレス化」、そして電子ズームやデジタル補正、画像処理による高感度化などを突き詰めた「完全デジタル化」(光学機構から離れる方向)を挙げた。