クラウドパートナー向け施策を強力に拡張、日本の遅れを挽回へ

今回のWPC 2015では、昨年7月開催のWPC 2014で発表されたCSPを拡張。これまでの「Office 365」だけではなく、Microsoft Azureや「CRM Online」「Enterprise Mobility Suite(EMS)」もCSPの対象とすることで、より幅広いサービスを再販できる体制が整った。
「昨年の発表時点では、CSPに取り組むには初期コストが必要だったため限定的な取り組みだった。現在は、APIの提供などによって、パートナーが初期投資をしなくてもCSPに参加できるようになっている。日本国内では、約20社がCSPに参加することになる」(高橋氏)
ソフトバンク コマース&サービスとダイワボウ情報システムの2社もCSPに参加しており、これらのディストリビューターを通じて、Office 365と2次店が持つサービスやソリューションと組み合わせた提案が行える体制も整える。
そのほか、直接の商談を獲得していなくても、プロビジョニングなどにおいて貢献したパートナーに対してもインセンティブを支払う「デジタルパートナーオブレコード」プログラムを開始。この仕組みもクラウドパートナーの拡大に貢献することになりそうだ。
また、Office 365、EMS、Power BI、Azureにおいて、20%のリベートを提供するプログラムもスタートさせる。こうしたクラウドパートナー向けの各種施策と、パートナーの拡大によって、日本マイクロソフトとしてのクラウドビジネスの高い成長率を維持していく考えだ。
「Office製品では、すでにOffice 365の売上高が半分以上を占めている。まだ、パートナービジネスにおけるクラウドシフトは、世界的にも日本が遅れているが、パートナーに対して、クラウドシフトのメリットを強く訴求することで、パートナーの安定的な収益基盤の確立とクラウドビジネスの拡大を目指したい」(高橋氏)
クラウド大手のなかで、パートナー戦略を明確に打ち出しているのは日本マイクロソフトだけであり、その点でも他社との差別化が明確になってきた。「短期的には、ダイレクトでの販売手法の方が成果があがりやすい。だが、それで成長には限界がある。中長期的にみれば、パートナーとの協業体制の方が高い事業成長が見込める。数年後にその差が明らかになるだろう」と、高橋氏は断言する。
日本において、Azureのサービスを開始してから5年を経過し、いよいよパートナーを巻き込んだ戦略が本格化することになる。そこに、AWSやGoogleとの差が生まれてくることになりそうだ。
