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Microsoft Worldwide Partner Award受賞の2社に聞く

マイクロソフトのトップパートナーになったソフトバンクとIIJ

2016年07月22日 07時00分更新

文● 大河原克行 編集●大谷イビサ

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マイクロソフトが、パートナー企業を対象に表彰する「Microsoft Worldwide Partner Award」の受賞会社が、2016年7月11日からカナダ・トロントで開催されているパートナー向けイベント「Microsoft Worldwide Partner Conference 2016(WPC 2016)」において表彰された。

受賞した日本のパートナー3社は?

 Microsoft Worldwide Partner Awardは、マイクロソフト製品を基盤として、優れたソリューションやサービスの提供や、豊富な実績を積んだパートナー企業を表彰するもので、全世界のパートナー企業が応募。今年は全世界から3000件の応募があったという。日本で受賞したのは、ソフトバンクグループ、ソフトバンク・テクノロジー、インターネットイニシアティブ(IIJ)の3社だ。

 ソフトバンクグループ(ソフトバンク、ソフトバンク・テクノロジー、ソフトバンクロボティクス)は、日本においてもっとも優秀な業績を収めたパートナー企業に授与される「Microsoft Country Partner of the Year(Japan)」を受賞。ソフトバンク・テクノロジーは、マイクロソフトのクラウドソリューションとパートナー企業独自のサービス/ソリューションを一括サポートすることで、顧客の問題解決に貢献したパートナー企業に授与される「Cloud Packaged Solutions Award」のほか、オンプレミスからクラウドまで、Microsoft Exchangeの計画、展開、管理に優れた技術力を発揮したパートナー企業に授与される「Messaging Award」、そして、公共機関向け製品の提供で実績をあげたパートナー企業に授与される「Public Sector:Government Award」も受賞した。

 ソフトバンク・テクノロジーは、ソフトバンクグループとしての受賞をあわせて4分野での受賞となっている。

 ソフトバンク・テクノロジーの阿多親市社長は、「4つの分野で世界ナンバーワンパートナーとして表彰されたことは、大変うれしい」とコメント。「ソフトバンク・テクノロジーは、AzureおよびOffice 365に対して、早い時期から多くのリソースを投入しきた。クラウドに対応したActive Directory連携連携ソリューションであるADFS on Cloudにいち早く取り組んだり、日本固有である総合行政ネットワークのLGWANとの接続など、マイクロソフトのパートナー企業として、技術面や導入規模でも、国内初の事案に数多く携わってきた点が、今回、評価されたと考えている。日本の企業の要求にあわせて、マイクロソフトの製品やサービスを補完する形で、ツールやサービスを提供している。ここには長年のノウハウが生かされている」と語った。

ソフトバンク・テクノロジーの阿多親市社長

ソフトバンク・テクノロジーの強みはエンジニアに尽きる

 同社は、2009年から、企業システムのクラウド化を積極的に推進。マイクロソフトソリューションを注力事業と定めて、マイクロソフト製品の活用だけでなく、マイクロソフト製品と親和性の高い独自サービスの開発や販売に取り組んできた経緯がある。

 2016年4月には、Office 365などのマイクロソフトのクラウド製品および同社独自のクラウドサービスの累計導入実績が、500社100万ユーザーに到達。2015年4月から2016年3月末には、政府方針のひとつである「農業の成長産業化」を支える農地情報公開システムの構築に携わった実績や、国内企業約100社に対してソリューションを提供した実績のほか、10を超えるOffice 365およびMicrosoft Azure関連の独自ソリューションを開発した技術力などが評価されたようだ。

 同社では、ソフトバンクグループ向けの事業が約4分の1を占めているほか、外部向けのビジネスでは、ソフトバンクグループとの連携提案も数多いという。

 「ソフトバンク・テクノロジーの強みはエンジニアに尽きる。現在、680人のうち、エンジニアは380人。新たなことに取り組むスピードと、チャレンジ精神が特徴である」とし、「日本マイクロソフトがライセンス型ビジネスから、コンサンプション(消費)型ビジネスへとシフトするなかで、ソフトバンク・テクノロジーが活躍する場が増えてきた。今回の受賞をきっかけに、今後も、日本マイクロソフトとの連携を強化していく」と述べた。

Hosting Awardを受賞したIIJは3つのクラウドを接続する

 一方、インターネットイニシアティブ(IIJ)は、ホスティングソリューションのイノベーションやマイクロソフトとの先進的な取り組みを示したパートナー企業に授与される「Hosting Award」を受賞した。

 インターネットイニシアティブ 執行役員 クラウド本部長の立久井正和氏は、「基幹システムのクラウド化やフルクラウド化が注目を集めるなかで、クラウド同士の接続において、ネットワークセキュリティに対する関心が高まっている。IIJが提供するクラウドサービスと、日本マイクロソフトのAzure、顧客が持つオンプレミスとを結んだサービスを提供できるのがIIJの強み。クラウド化が進展するなかで、IIJはユニークなポジションにある」と語る。

インターネットイニシアティブ 執行役員 クラウド本部長の立久井正和氏

 IIJでは、2015年1月から、「クラウドエクスチェンジサービス for Azure」の提供を開始。Microsoft Azureと、IIJのクラウドサービス「IIJ GIO(ジオ)サービス」に加えて、顧客が持つオンプレミスを、閉域網で接続する3(スリー)クラウド環境を実現。マイクロソフトの閉域網サービス「ExpressRoute」に接続したサービスにいち早く取り組んだ経緯を持つ。

 2015年12月には、「クラウドエクスチェンジサービス for Office 365」の提供を開始。2016年2月には、「クラウドエクスチェンジサービス for Dynamics CRM Online」の提供を開始している。

戸田建設のクラウド移行事例が高く評価

 クラウドエクスチェンジサービスの展開において、同社の特徴が生かされた事例のひとつに戸田建設がある。今回の受賞もこの事例が評価された模様だ。

 戸田建設では、組織ごとに個別のITシステムを構築していた経緯があり、それを再構築および統合していくプロジェクトをスタート。その際に、既存システムを使い続けながら、リプレースのタイミングで、順次、新しいシステムに移行することをやめ、オンプレミスで稼働しているすべてのITシステムをクラウドへの移行することを前提にしながら、IIJ GIOを選択するところから始めた。IIJのサービスを活用することで、「既存システムとIIJ GIOとの間では、IPレベルで接続ができるL2延伸接続を実現し、既存のIPアドレスをそのまま持ち込むことが可能となった。既存環境への影響を最小限に抑えつつ、スムーズなクラウド移行が実現できる。これが重要な意味を持った」(インターネットイニシアティブ・鯵坂慎常務執行役員)という。

 また、クラウドエクスチェンジサービスによって、IIJ GIOとAzureを専用線で結び、閉域接続が可能になるため、2つのクラウドを、セキュアで、安定的に利用できる環境を確立した。

 今後は、戸田建設におけるクラウド環境への移行を支援することになるという。

 立久井執行役員は、「今回の受賞によって、IIJが、日本マイクロソフトと強力なパートナーシップを組んでいることを国内外にアピールできたと考えている。日本のパートナー企業とは補完関係も構築できることから、パートナー同士の連携強化につなげ、これをビジネス拡大のきっかけにしたい」と述べたほか、「今後は、PowerBIや機械学習、CortanaといったPaaSを活用した展開も強化していきたい」と語った。

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