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さくらの田中さんが語るコミュニティ論とさくらの進む道

キーワードは熱量!さくらのコミュニティ、鹿児島で起動

2015年06月29日 15時30分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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6月27日、鹿児島市内において「startuphack in Kagoshima byさくらクラブ」が開催された。イベントではさくら公認のユーザーコミュニティ「さくらクラブ」の発足が宣言され、基調講演ではさくらインターネットの田中邦裕社長がコミュニティ活動への意気込みを語った。

鹿児島市内のホテルの宴会場に数多くのスタートアップ・さくらユーザーが集うイベントの様子

地元のスタートアップが鹿児島市内に集う!

 startuphack in Kagoshimaイベントは、九州のスタートアップを活性化するとともに、さくらのユーザーコミュニティである「さくらユーザーグループ(さくらクラブ)」を発足させるという趣旨がある。鹿児島市内のホテルの宴会場を会場としたイベントでは、鹿児島や宮崎、福岡などからスタートアップに関わる関係者が数多く集結し、数多くのLTやパネルディスカッションが繰り広げられた。

 冒頭、「Dive into Community~地方スタートアップにコミットするさくらの新戦略~」と題した講演を行なったのはさくらインターネットの田中邦裕社長。「今日は社長という立場ではなく、個人として話しに来た」という田中さんの基調講演は、縁台のざぶとんに腰掛けながら、聴衆に語りかけるというゆるいスタイルでスタートした。

どう見ても地元公民館の落語大会としか思えないたたずまいで、ゆるく語り出す田中さん

 まず、プログラマーとしてWebサービスを立ち上げる際に(さくらのサービスではなく)AWSを使っていた過去の経験を語りつつ、「うちの会社でも日本のスタートアップが使いやすいサービスが作れないかと考えた。で、それまでVPSはやらないと言っていたが、利用者として考えてさくらのVPSを作った」と語った。

 インフラ部分でユーザーのビジネスを下支えするというさくらインターネットの理念から考え、成長するスタートアップの支援は当然のなりゆき。「グリーやミクシィ、アラタナ、メルカリなど、スタートアップが最初のサーバーとしてさくらをお使いいただいている」(田中さん)という。しかし、最近は外資系クラウドベンダーが積極的にスタートアップを囲い込むようになっている。こうした中、さくらもスタートアップに最適なサービスがあることを積極的にアピールすることにしたというのが、今回のスタートアップ支援イベントの趣旨だという。

自発的に参加するコミュニティをさくらが手がける理由

 次に、さくらのユーザーコミュニティである「さくらクラブ」設立の経緯に話が移る。田中さんは以前からOSC、KOF、WordCamp、PHPカンファレンスなど、さまざまなITコミュニティに参加しており、第1回のJAWS DAYSの懇親会で「AWS最高!!」と乾杯の音頭をとった経験もある。こうした社長の影響もあってか、最近は社内でもコミュニティに対する理解が高まってきたという。「コミュニティは内発的な動機付けで行くもの。行けと言われて行くほどつまらないものはない。だから、社員を無理矢理行かすのもなあと思っていたら、自ら行く人が増えてきた。そんな社員の中から、鹿児島でイベントやりたいという声があり、今回のイベントに結実した」と田中さんは語る。

さくらとコミュニティは、このままでよいのか?という疑問

 従来でも、mixiやFacebookなどのSNSグループのほか、地方でさくらを取り上げるコミュニティイベントはあったという。社員からもユーザーコミュニティを作りたいという声があったが、田中さんは「かたくなに作っていいんだろうかと自問自答していた。鹿児島にもスタートアップミーティングはあるし、JAWS-UGやAndroidの会もあるし、わざわざうちで作らなくてもえんとちゃんうかと思っていた。さくらのコミュニティってなんか押しつけがましいのでは」と考えていたという。「コミュニティとはあくまで自発的に参加するもの」を、コミュニティ論の中心に据えるのは個人でコミュニティに積極的に参加してきた田中さんならでは感覚と言える。

 しかし、田中さんはユーザーや社員のコミュニティへの思いを勘違いしていたと述懐する。「さくらのコミュニティがあれば行くよというユーザーの声も多かったし、うちの社員も業務指示でコミュニティを作りたいと言ってたわけではなかった。その声に応えないのはやはりダメなのではないかと、私も心変わりした。ユーザーと社員が同じ視点で作るコミュニティができればいいなと思ったのが、今回のコミュニティ設立のきっかけ」と田中さんは語る。

熱量を高められる場所を作っていきたい

 今回発足した「さくらクラブ」は、ユーザーのスタートアップによって生まれたさくらインターネット公認のコミュニティ。「この『さくらクラブ』も、社員から出てきた名前。最初聞いた時は、どこかの夜の店かと思ったけど(笑)、見れば見るほどいい名前に覚えてきた」と田中さんもご満悦の様子。そして、これをさくらインターネットがホストを務める「さくらサポーターズネットワーク」がサポートするという形で運営される。

公認ユーザーコミュニティであるさくらクラブの概要

 こうしたフレームを用意することで、「エンジニア以外も参加しやすい」「お金のにおいがしない」「マーケティングくささがない」「ゆるい」「スーツ族じゃない」などユーザーから醸成された“さくららしさ”を活かしながら、ユーザーといっしょに作っていきたいという。「いっしょに作っていきましょうと言いながら、実際そうではないコミュニティもあるが、押しつけがましいのは私の本意ではない。もともとあるコミュニティと戦うものでもない」と田中さんは語る。

 では、コミュニティが自発的に盛り上がるためには、なにが必要か。その1つは「熱量」ではないかと田中さんは指摘する。「家で1人で仕事してても熱量は上がらない。いろんな人がつながると熱量が上がる。いっしょに熱量を高められる場所を作っていきたい」(田中さん)。さくらとスタートアップが好きな人が集まり、モチベーションをお互い上げ、同僚や社内の人に熱を伝搬させられるような会にしたいという。

さくらが目指すコミュニティ

 「10年後くらいに、さくらって圧倒的にスタートアップに強いよなと言われたいという、やらしい欲望もある」と言いつつ、あくまでサポートに徹するというコミュニティ運営をアピールした田中さん。しびれた足を引きずりつつ、鹿児島のスタートアップのLTにバトンを渡した。

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