いま、ゲーマーのあいだで話題の「Steam」って!?
ゲーム業界をにわかに賑わせているプラットフォーム「Steam」を知っているだろうか。
ゲームの販売/購入、ユーザー同士の連絡や、ユーザーによる評価の閲覧など、ゲーム関連の機能を包括する米Valveが運営する総合的なプラットフォームだ。
Steamの最初期のコンセプトが立ち上がったのは2002年頃の米国。そこから段階的に世界に広がり、現在の対応国は公式には25ヵ国だ。海外では、「オンラインゲームをするなら、Steam」という盛り上がりを見せている。日本国内でも、ここ2年ほどで、従来、ゲーム専用ハードでしかリリースのなかったビッグタイトルのリリースが増えはじめ、注目度が高まっている。
サードウェーブデジノスがSteamにいち早く目を付けた!
そんな中、国内有数のファクトリーメーカーであるサードウェーブデジノスがGALLERIAにSteamクライアントをプリインストールして販売し始めた。同社は秋葉原に同社のゲーミングPC「GALLERIA」専門のショールーム「GALLERIA Lounge」をオープンするなど、積極的な戦略でゲーマーたちの支持を集めており、いち早くSteamに目を付けた点はさすがゲーミングPCに力を入れるメーカーならではと言える。
しかし、まだこれからの盛り上がりが未知数なことを考えると、挑戦的にも見える。Steamプリインストールの意図はどこにあるのか? サードウェーブデジノスでSteam関連事業にたずさわる マーケティング本部 プロモーション部 桑園 勉氏と、Steamのガイダンスサイト「PRO スチーマー」を運営し、今回のプリインストールにも大きくかかわったデジカ 事業開発部 部長 岩永朝陽氏の対談を通し、探ってみた。
利用者は300万人? デジカ岩永氏が読むSteamの現状
—— まずは、国内でのSteamの盛り上がり具合をうかがっていきたいと思っています。
岩永「(現時点での利用ユーザーは)200万から300万ユーザーくらいかな、と思っています」
桑園「まだ(Steamの)存在を知らない人が多いのかな、と思います。実際、私はPCゲーム歴は長いのですが、Steamを知ったのは、ここ2年ほどなんです。『好きなタイトルがSteamというものでリリースするらしいぞ』というところから知ったのですが、まず『知る』までが長いのだと思います。なので、『知ってもらうこと』が今の、国内での課題ですね」
岩永「周りがSteamを楽しんでいたりすると、自然にクライアントを入れて、目当てのタイトルで遊ぶ、といった流れができると思うのですが……その『一番はじめ』というところですよね。これから日本のタイトルがどんどん増えてくると、もっと近付きやすくなると思うのですが」
—— 国内でもタイトルがずいぶん増えてきたようですが。
岩永「はい。ゲーム専用ハードで展開されていたコンシューマー向けの人気タイトル、有名タイトルを制作しているゲーム会社さんが、どんどんSteamのマーケットに参入しています。
さらにSteamには、レトロなゲームもけっこう揃っているんですよね。これまではゲームハードが切り替わってしまうと、昔のゲームを遊びたい場合に、以前に使っていたゲームハードを引っ張り出してくる必要がありましたよね」
桑園「頻繁に色んなハードで遊ぶ人だと、(ゲームハードを)何台も並べておかないといけなくて、大変という面もありました」
岩永「レトロなゲームも最新のゲームも、同列に扱えるのがSteamの利点ですよね。グラフィックが綿密で凝っている最新タイトルは、本格的なゲーミングPCを使わないとプレーが難しい部分もありますが、Steamで購入できるおよそ4500前後のタイトルのうち、半数ほどは一般家庭にあるノーマルなPCで遊べます」
—— ゲームのダウンロード購入もすでに一般的な行為になりつつありますが、それも手伝って、Steamはやはりこれからさらに盛り上がりそうですね。
桑園「今、パッケージ版の魅力は、初回購入特典とか、予約特典のような、物理的な魅力になってきていますよね。私も、ノベルティーが付いているとうれしいなと思いますが、純粋にプレーすることだけ考えると、ダウンロードの利便性が高いと感じますね」
Steamは「新しい産業」につながる可能性がある
—— サードウェーブデジノスさんがGALLERIAへのSteamクライアントのプリインストールを決めたのは、これからもっと盛り上がりそうな流れを読んでのことでしょうか?
桑園「いえ、プリインストールは、『PCゲームを楽しむユーザーさんをもっと増やしたい』という想いからですね。Steamクライアントを入れたことでサードウェーブデジノスが儲かるということも、特にないんですよ(笑)。なので、本当に商売というより、認知活動ですね」
—— そもそも、国内タイトル増え始めたきっかけって、どこにあるのでしょうか。
岩永「それは、やっぱり『売れる』からなんですよ。ゲーム業界の方々もSteamのことは意識しているはずですし、『○○がSteamのマーケットでリリースしたら、売れたらしいぞ!』となれば、色々メーカーさんが参入してくる。そういう流れだと思うんです。結果的に日本のユーザーさんも増えてきてはいますが、海外は今、『PCゲーム2度目の黄金期がきた』と言われるほどの盛り上がりみたいですよ」
—— 海外はいま、本当にすごいみたいですね。
岩永「Steamと直接の関係はありませんが、海外では、ゲームが『e-sports』というかたちでひとつの産業になっていますよね。チームができて、スポンサーがついて、と……。日本は『ゲームを作る国』なので、この後は、日本のゲームも、そういう産業の段階に入っていくべきだろう、と僕は思っているんです。若い人たちが、この流れに合流して、ゆくゆくは、その中からゲームクリエイターが生まれて……Steamはそこにつながる可能性があると思います」