再び脚光を浴びた
アクセラレーター
このアクセラレーターの分野で古くから注目されたのがFPGAである。FPGAとはなにか? という話をそもそもこの連載の中では一度もしたことがないので、いずれ解説したいと思うが、とりあえず今は「プログラムで内部の回路構成を変えられるハードウェア」と説明しておく。
古いところでは、シーモア・クレイが事故で逝去する前に設立したSRC Computers, LLC(関連記事)は、その後Reconfigurable Computingという概念に基づくシステムを開発するようになるが、ここで使われたのがFPGAであった。
また、クレイはXD1というシステムを発売するが、これはOpteron×2にXilinxのVirtex-II FPGAをアクセラレーターとして搭載した構成だった。
最近では、マイクロソフトがデータセンターにFPGAを投入というニュースで賑わっているが、他のどんなアクセラレーターと比較しても柔軟性に富んだ構成が実現できるのがFPGAの強みであり、これが評価され続けているということでもある。
ただしその反面、FPGAには欠点もある。それが効率である。FPGAとASIC(専用回路)を比較した場合、FPGAはおおむね1桁効率が悪い。先にインテルの8086が2万9000トランジスタだと記したが、同じ回路をFPGAで構成すると、だいたい29万から30万トランジスタを必要とする。
当然トランジスタ数が多ければ消費電力も増えるし、その分発熱も多い。したがってFPGAを使う場合は、その効率の悪さを埋めて余りあるほど効果的なアルゴリズムを実装するようにしないとあまり効果的ではない。以前から広くアクセラレーター用途として注目されつつ、普及がゆっくりなのはこのあたりに理由がある。
その一方でもう1つ注目され、急速に普及してきたのがGPUである。ということで続きは次回説明しよう。
この連載の記事
-
第803回
PC
トランジスタの当面の目標は電圧を0.3V未満に抑えつつ動作効率を5倍以上に引き上げること IEDM 2024レポート -
第802回
PC
16年間に渡り不可欠な存在であったISA Bus 消え去ったI/F史 -
第801回
PC
光インターコネクトで信号伝送の高速化を狙うインテル Hot Chips 2024で注目を浴びたオモシロCPU -
第800回
PC
プロセッサーから直接イーサネット信号を出せるBroadcomのCPO Hot Chips 2024で注目を浴びたオモシロCPU -
第799回
PC
世界最速に躍り出たスパコンEl Capitanはどうやって性能を改善したのか? 周波数は変えずにあるものを落とす -
第798回
PC
日本が開発したAIプロセッサーMN-Core 2 Hot Chips 2024で注目を浴びたオモシロCPU -
第797回
PC
わずか2年で完成させた韓国FuriosaAIのAIアクセラレーターRNGD Hot Chips 2024で注目を浴びたオモシロCPU -
第796回
PC
Metaが自社開発したAI推論用アクセラレーターMTIA v2 Hot Chips 2024で注目を浴びたオモシロCPU -
第795回
デジタル
AI性能を引き上げるInstinct MI325XとPensando Salina 400/Pollara 400がサーバーにインパクトをもたらす AMD CPUロードマップ -
第794回
デジタル
第5世代EPYCはMRDIMMをサポートしている? AMD CPUロードマップ -
第793回
PC
5nmの限界に早くもたどり着いてしまったWSE-3 Hot Chips 2024で注目を浴びたオモシロCPU - この連載の一覧へ