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高圧水素タンクではなくギ酸を用いる水素エネルギー社会が来るかも

産総研、グラフェンを用いた高効率水素発生触媒を開発

2015年05月01日 19時22分更新

文● 行正和義/ASCII.jp

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非貴金属犠牲法によるグラフェン上の貴金属ナノ粒子固定

 産業技術総合研究所(産総研)は4月28日、グラフェンに貴金属ナノ粒子を固定化することで高効率な水素発生触媒を開発したと発表した。

グラフェン上に固定化された金属ナノ粒子触媒の透過型電子顕微鏡像。(a)非貴金属不使用。リン酸処理による析出非貴金属の(b)溶出前と(c)溶出後。

 金などの貴金属は化学触媒として多用されているが、コストを考えると少量で多くの化学変化を与える効率が求められる。産総研の電池技術研究部門の研究グループでは炭素の二次元構造体であるグラフェンの表面に金ナノ粒子を固定化する手法。これまでの固定化ではナノ粒子が凝縮してしまっていたが、非貴金属を用いて固定、酸処理を施すことで非貴金属を取り除く「非貴金属犠牲法」を用いることで金パラジウムの粒子を分散して固定することに成功した。

グラフェン上に固定化された金属ナノ粒子触媒によるギ酸分解・水素放出反応

 産総研では、この触媒がギ酸(蟻酸)を分解して水素を取り出すのに高い性能を持つことを実験で確かめた。ギ酸は、水と二酸化炭素から生成するのが容易で、水素を取り除いた後は二酸化炭素のみとなり、常温常圧で貯蔵できることから水素燃料貯蔵媒体としての応用が期待できる。

パナソニックが開発した人工光合成技術 

 また、ギ酸は水と二酸化炭素から光で合成する人工光合成技術も開発されている。パナソニックが2012年に開発した人工光合成は光エネルギーと触媒を用いて水と二酸化炭素からギ酸を生成し、その効率は植物由来原料からの合成を超えるという。これはギ酸からメタン合成をするなど化学産業での利用と目的としたものだが、水素エネルギー利用が拡大すれば自然エネルギー利用のひとつの形態として成り立つかも知れない。

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