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明るく応答性の高いタッチパネルの実現に

産総研、毛細管現象を用いて3μm幅配線も可能な超高精細印刷技術

2016年09月13日 17時57分更新

文● 行正和義 編集/ASCII.jp

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従来技術(左)と今回開発した技術(右)で印刷したパターン

 国立研究開発法人 産業技術総合研究所(産総研)は9月12日、毛細管力を利用した超高精細の厚膜印刷技術を開発したと発表した。透明感の高いタッチパネルなどに利用できる。

 タッチパネルなどのフィルム素材の電子機器では、導電素材を印刷する手法が用いられつつあり、とくに曲面ディスプレーなどのデザイン性の高い製品では今後増えることが予想されている。タッチパネルなどの導電配線においては、配線が細いほどフィルムの透明性は高いものの、従来から用いられているスクリーン印刷では線幅をあまり細くすると開口部のインク詰まりがおきるため線幅は50μmが限界だった。

ナノインプリントとスクリーン印刷による微細な厚膜印刷の工程

 産総研では、ナノインプリント(スタンプを捺すようして成形する方式)を用いてフィルム表面に溝を設け、そこにスクリーン印刷を行なうことで毛細管現象によって溝にインクが流れ込むという印刷方式を開発。この方式を用いると原版の1/30幅の線でも印刷でき、開口部のインク詰まりの問題もないという。

試作した高密度微細配線 

 この方式を用いて透明導電性フィルムを制作したところ、従来のスクリーン印刷では光の透過率が43%なのに対し、同じものが90%の透過率になるという。透過率の高い導電性フィルムを使うことで、タッチパネルなどの表示素子にしたときの明るさの低下が少なくなる。また、細くても高さのある配線が可能になることから、従来方式で配線を微細化するのに比べてタッチへの応答性低下を回避できるという。産総研ではさらに細い2μm幅の高密度微細配線も試みており、原理的には0.1μm以下での配線にも利用できるとしている。産総研は技術やサンプル提供を行ない、技術の実用化を目指すようだ。

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