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エリソン会長、ハードCEOが揃って登場した「Oracle CloudWorld Tokyo 2015」

“クラウドナンバー1”目指すオラクル、エリソン氏が戦略語る

2015年04月13日 06時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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「競合はIBMやSAPではなく、セールスフォースやAWSだ」

 エリソン氏の言葉にもあるように、オラクルが「競合」として強く意識する企業の顔ぶれも、かつてとは大きく変わっているようだ。

 「かつてのオラクルの競合企業は、IBMやSAPといった(オンプレミスシステムの)ベンダーだったが、現在ではセールスフォースやアマゾン(AWS)といったクラウドサービスプロバイダーこそが競合である」(エリソン氏)

 こうした競合との戦いに臨むべく、エリソン氏は日本国内へのデータセンター設置計画についても明らかにした。「オラクルは、すでにグローバルで19のデータセンターを持っており、今年中には日本に大きなデータセンターを開設する予定だ」(エリソン氏)。

 なおエリソン氏によれば、オラクル自身で運営する日本データセンターのほかに、オラクルのパートナーが運営するデータセンターからもサービスを提供していく構想だという。「今後も多くの顧客は、パートナー経由でオラクルのサービスを使うかたちになる」(エリソン氏)。

真の「クラウドアプリケーション」の条件とは何か?

 エリソン氏は基調講演の大半を、同社の人材管理SaaSである「HCM Cloud」を例に取りながら、真に「クラウドアプリケーション」と呼ぶに値するものの条件とは何かという話題に費やした。

 「10年前、20年前に開発されたアプリケーションを、自社データセンターからAWSに移したらクラウドアプリケーションになるのだろうか? わたしは違うと思っている。それは決して成功しない」(エリソン氏)

 人材管理分野で考えると、古いアプリケーションでは機能が不足しており、「ユーザーが現在(HCM分野で)やりたいことに対応していない」とエリソン氏は説明する。クラウドアプリケーションとしては、FacebookやLinkedIn、TwitterといったSNSとの連携機能、RDB/DWHの違いを超えたアプリケーションとデータの連携、エンドユーザーがトレーニング不要で使えるインタフェースなどが必要であると述べた。

 「われわれは10年前にアプリケーションのクラウド化に着手し、『すべて作り直さなければいけない』という結論に達した。アプリケーションの全面的な再構築を行い、市場参入までに8年かかった」(エリソン氏)

 エリソン氏と同様に、ハード氏も、企業競争力を高めるためにはアプリケーションのモダナイゼーション(近代化)を進めなければいけないと指摘した。

 「皆さんは(開発から)20年が経過したような、古いアプリケーションを使っていないだろうか。それはソーシャル以前、モバイル以前、そしてインターネット以前の時代に開発されたものだ」(ハード氏)

業務アプリケーションのモダナイゼーションを進めなければ「生き残れない」

 そして、大半の企業ではユーティリティとしてコンピューティングを利用することが、最も効率の良い方法であると、エリソン氏は聴衆に訴えかけた。

 「すでに、HCMを新規導入する顧客の半数以上はクラウド版を選択している。これまでコストや管理人材の問題で導入できなかった(規模の小さな)顧客も、クラウド版ならば導入できる」「データセンターの構築、アプリケーションの開発は、われわれの専門分野である。皆さん自身は、それぞれ専門のビジネス分野に専念していただきたい」(エリソン氏)

1日目の基調講演では、エリソン氏および日本オラクルの杉原社長と、伊藤忠テクノソリューションズ、NTTデータ、NEC、富士通の各社社長が参加するパネルディスカッションも行われた

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