――次世代統合アーキテクチャと位置づける「Dell PowerEdge FX」(関連記事)の評価はどうですか。
マーズ Dell PowerEdge FXは、グローバルで好調に推移し、米国でも、アジアでも大型案件が出てきています。とくに小規模データセンターだけでなく、大規模データセンターの案件において、予想以上の成果が出ていることが特筆できます。ブレードがいいのか、FXがいいのかという比較のなかで、いまはFXに対する優位性を評価してくれているケースが増えています。いつかは、FXが、ブレードを超えることになると予測しています。注目されているのは、高密度であること。また、パフォーマンスの高さにも期待が集まっています。
町田 コンバージドシステムの市場に対しては、デルは最後発となりましたが、その分、顧客が求める最高のパフォーマンスを提供できる強みがあります。ブレードに比べて高密度であることに加えて、NutanixへのDell XCシリーズのOEMや、Nexentaとの協業によるDell-Nexentaアプライアンスソリューションの提供、レッドハットとの協業など、“尖ったもの”をオープンな環境のなかで取り込み、ハイパーコンバージドシステムとして提供できる点にも評価が集まっています。
――コンバージドシステムは明暗が分かれつつありますが。
マーズ デルのコンバージドシステムは、オープンであり、ベストな選択肢を提供するところが特徴です。マイクロソフト、VMware、レッドハットといった企業とも緊密に連携し、オープンな環境のなかでコンバージドシステムを提供していくことになる。しかも、パートナー企業からの認証を受けているため、すぐに使うことができる。チャネルパートナーからも、こうした製品を扱いたかったという声が上がっています。
――デルの強みは、どんなところで発揮されていますか。
マーズ 最大の強みは、プロダクトラインがベストである点です。繰り返しになりますが、ラップトップPC、デスクトップPC、タブレット、サーバー、ストレージ、ワークステーション、データセンター向けの機器まで、垂直統合で提供できるほか、DCS(デル・コンサルティングサービス)やクラウド向けのソリューションを提供している点も、デルならでの特徴です。
「サーバーなどどれも同じで、安ければいい」という顧客も、たしかにいます。しかし、サーバーの管理が容易にできるか、VMwareなどの製品群との連携において、しっかりと認証がとれているのかといったことも重要な要素です。こうしたところまでカバーすることで、初めてTCOを下げることができる。また、オープンであることもデルの強みです。デルが提供するOpenManageを使うことで、富士通でも、HPでも、IBMでも、さまざまな組み合わせの中でも柔軟に対応できる。他社にはない強みです。
――日本市場における課題はありますか。
マーズ ストレージのシェアをさらに高めていくことです。日本には細やかな対応ができるローカルなベンダーが多く、なかなか切り込めていない部分もあります。しかし、だからといって、いまのままで満足してはいません。日本のエンタープライズ市場は、約6割が間接販売によるものであり、デルもパートナーとの協業を強化することで、シェア拡大につなげていきたいと考えています。
――デルは、サーバーおよびストレージなどのエンタープライズ製品においては、いつまでに日本でのナンバーワンを目指しますか。
マーズ 今年の終わりには、ナンバーワンになれるかどうかを判断するタイミングが訪れると考えています。そのタイミングまでに、ナンバーワンになれるかどうかを見極めたい。アジア太平洋地域では、引き続き、マーケットを上回る成長を維持するとともに、チャネルビジネスの拡大、コンバージドシステムの事業拡大などがキーワードになります。ストレージは、市場の成長の2倍を目指します。日本では、顧客満足度、ユーザークスペリエンスを高め、今年末までに海外ベンダーとしてナンバーワンにカムバックしたい。成長の余地はまだまだあると考えています。