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エンタープライズ事業 APACJ担当プレジデント マーズ氏 インタビュー

エンタープライズビジネスを加速するデル、その成果と課題

2015年03月30日 09時00分更新

文● 大河原克行 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

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 デルのエンタープライズビジネスが成長している。とくに、日本を含むアジア太平洋地域のエンタープライズビジネスは好調であり、サーバー、ストレージでは首位を獲得。新たに投入したコンバージドシステム「Dell PowerEdge FX」でも大型案件が相次いでいるという。

 今回はアジア太平洋地域におけるデルのエンタープライズビジネスについて、米デル エンタープライズ・ソリューションズ アジア太平洋及び日本地域担当プレジデントのピーター・マーズ氏と、デル エンタープライズ・ソリューションズ統括本部長の町田栄作氏に話を聞いた。

米デル エンタープライズ・ソリューションズ アジア太平洋及び日本地域担当プレジデントのピーター・マーズ氏

――デルが取り組むエンタープライズ事業において、2014年はどんな1年でしたか。

マーズ  サーバービジネスは、競合他社を上回る実績を遂げています。サーバーは2桁成長を達成し、ストレージも2桁成長となっています。特に(FC SANストレージの)「Compellent SCシリーズ」は大きな伸びとなっています。さらに、ネットワーキングも複数年に渡って2桁成長を遂げ、2014年もワイヤレスLAN、ギガビットネットワークなどが好調に推移しました。

 こうしたビジネスが拡大すると、それに付随するUPSなどの販売も増加し、収益性向上にも寄与する。いい回転がはじまっています。また、プライベートクラウドソリューションを求めるユーザーに対して、成功を収めるための支援を行っていくという観点でも成果が出ています。

――なぜ、そうした成果が出ているのでしょうか。

マーズ  デルは、昨年11月上旬に、米テキサス州オースティンで「Dell World 2014」を開催し、そこで「Integrated IT Company」という新たなメッセージを打ち出しました(関連記事)。ここからも明らかなように、我々の戦略は「機が熟した」ともいえます。サーバー、ストレージ、ネットワーク、SDNを含めた仮想化を強力に推進していける状況が整い、しかも、それらすべての製品が業界標準にフォーカスしている。結果として、顧客のTCOを下げることにつながっている。これまで取り組んできた成果が、ここにきて結実してきたといえます。

 そして、多くの顧客から、いままでに比べて製品が買いやすくなった、導入しやすくなったという声が上がっています。さらに、デルは、ベストなものを提供してくれる企業になったという声も出ています。VMwareやレッドハット、マイクロソフトなどの企業と連携をし、パートナーシップを組むことでTCOを劇的に下げることができるようになり、これをお客様が認識し始めてきた。これによって、ビジネスで勝利を収めることができたと言えます。

 日本でも、中堅・中小企業だけでなく、世界を代表するような企業においてもデルを選択する例が出てきていますし、クラウドプロバイダーとの大規模な契約も実現する予定です。これは、日本における重要な成果のひとつだと言えます。

 こうした取り組みの成果は、数字として表れています。サーバーは、アジア太平洋地域でナンバーワンのシェアを持ち、日本でもナンバーワンとなりました。また、ストレージも、内蔵、外付けを含めてアジア太平洋地域ではナンバーワンとなった。日本では、ストレージに関しては、まだナンバーワンではありませんが、裏を返せば、まだ成長の余地があるとも言える。

町田  日本では、EqualLogicの展開により、iSCSIでは、24四半期連続のトップシェアを獲得していますし、オールフラッシュの「Dell Storage SC4020」も高い評価を得ています。

マーズ  アジア太平洋地域においては、Dell Storage SC4020を導入する顧客の70%が、デルにとっての新規ユーザーです。また、外付けストレージは、市場全体を上回る伸びとなっており、今後もそれを維持したい。日本においては、チャネル戦略を加速することで、ストレージのシェアを拡大できると思っています。実際、グローバルでは、チャネル拡大戦略に、1億2500万ドルの投資を行うことを発表しています。日本、そして、アジア太平洋地域においても、SIer、VAR、ディストリビュータに対するチャネル戦略を加速することになります。パートナーとのつながりを強化することで、ビジネス基盤を強固なものにしていく考えです。

 もうひとつ、デルに対する期待が高まっている点も見逃せません。IBMはサーバービジネスを売却し、すでにPC事業も売却している。当然、次はストレージ事業をどうするのかという話になります。HPは、分社化することを発表し、2つの会社で事業を行うことになる。1社で、PCからエンタープライズ、そしてソリューションまで、垂直統合型のビジネス形態を確立している企業としては、デルが世界最大規模になる。もちろん、日本の企業のなかには、そうした企業はありますが、グローバルで展開している企業はデルだけだといえます。

(→次ページ、「いつかはPowerEdge FXが、ブレードを超えることになると予測しています」

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