今回のことば
「デルは、PC事業が元気でないと成長がない。PC事業の手を緩める必要はない」
(デル・郡信一郎社長)
デルが「Integrated IT Company」という新たなメッセージを発信しはじめた。
2014年11月に、米国テキサス州オースティンで開催した同社プライベートイベント「Dell World 2014」において、デルの会長兼CEOマイケル・デルが使い始めたのが最初だ。
「この言葉は、デルが目指してきた『ソリューションプロバイダー』の延長線上にあるものだ」と、デル株式会社の郡信一郎社長は語る。
デルは、2014年に創業30年を迎えた。設立当初は、PC専業メーカーとして、直販モデルの強みを生かし、シェアを拡大。世界ナンバーワンのPCベンダーへと成長した。だが、直販およびサプライチェーンの強みだけでは競合他社との差別化が難しくなり、2007年にマイケル・デル氏がCEOに復帰してからは、独自事業にこだわった成長路線からM&Aによる事業拡大路線へとシフト。ここ数年はソフトウェア関連企業の買収を加速し、ソリューションプロバイダーへの変革に取り組んできた。
現在、PCやサーバー、ストレージといった製品群に加え、ミドルウェア、アプリケーションソフトウェア、管理ソフトウェア、そしてセキュリティ関連製品といったように、ワンストップでソリューションを提供できる企業体質へと変革を図っている。その一方で、スマートフォンやパブリッククラウドサービスなど、デルの強みが直接的に発揮できない領域においては事業撤退を行うといったように決断も大胆だ。スマートフォン市場においては直接ハードウェア事業を行わない代わりに、モバイル管理製品で強みを発揮。パブリッククラウド領域においては、世界の主要クラウドプラバイダー各社に対して、サーバーやストレージを供給するといった動きをみせている。
この連載の記事
-
第587回
ビジネス
メーカー自身が認定し、工場検査後に販売するパナソニックの中古家電 -
第586回
ビジネス
マイクロソフト、日本への4400億円のAI/データセンター投資の実際 -
第585回
ビジネス
日本市場の重要性を改めて認識する米国企業、変革期にある製造業がカギ -
第584回
ビジネス
NTT版の大規模言語モデル(LLM)、tsuzumiの商用化スタート、勝算は? -
第583回
ビジネス
エコ投資に取り組むエプソン、見方によっては10年で1兆円の投資も -
第582回
ビジネス
パナソニックコネクトの現在地点、柱に据えるBlue Yonder、ロボットとは? -
第581回
ビジネス
スタートして半年の日本NCRコマース、軸はAIとプラットフォームの2つ -
第580回
ビジネス
コンカーの第2章は始まるのか、SAPの生成AIを使って効率的な経費精算を -
第579回
ビジネス
AIの筋トレはいまから始めるべし、マイクロソフト津坂社長がCopilotの議論から得たもの -
第578回
ビジネス
大赤字からの再起はかるバルミューダ、その足掛かりは? -
第577回
ビジネス
日本の強さは量子力学におけるトンネル効果があるため、量子と出会い、広げよう - この連載の一覧へ