来年登場のPASCALは
ディープラーニングで現世代の10倍の性能
次にジェンスン氏は、今後のGPUアーキテクチャのロードマップを示した。ロードマップについては、昨年のGTCで、次世代はPASCAL、その次はVOLTAと名称や概要が発表されている。今年は、それを受け、PASCALアーキテクチャの具体的な性能などが公開された。それによると、単精度の行列演算では1Wあたりで現行世代であるMaxwellの2倍、精度の混在した演算(現行のMaxwellでは、単精度、倍精度は別の演算として処理する必要がある)では4倍、メモリー容量では30GBと2.7倍、データ転送性能では3倍になるとのことだ。
また、ディープラーニングを行なわせたばあい、PASCALに搭載される「Mixed Precision」機能(異なる精度の演算の混在を可能にするもの)や3Dメモリなどで5倍の性能向上があり、プロセッサ同士を接続するNVLINKでさらに2倍の性能向上が見込め、合わせて10倍の性能があるはずだという。
昨年PASCALを発表したときには、ディープラーニングの話はなかったが、今年の説明では、ディープラーニングでPASCALはMaxwellより10倍早いという話になっていた。3DメモリやNVLinkは、昨年の内容なのだが、「Mixed Precision」は今年初めて出てきた。
おそらくディープラーニングの処理を分析して、精度の違う演算を同時に行なうことを可能にすれば、さらに高速化できるとして取り込んだ機能だと思われる。もっとも、機能としては、ディープラーニング専用というわけではなく、他の処理でも、これまで単精度、倍精度で分けていた演算があれば、高速化になる機能であるため、取り込みやすかったのであろう。
最後は、Drive PXだ。これは、今年のCESでデモも行われた自動運転自動車のためのコンピュータだ。正確には、自動運転自動車を開発するための開発ボード。こちらもディープラーニングを利用することを想定している。5月には出荷が可能で、価格は1万ドル。基本的には自動車メーカーや開発組織や研究機関向けの製品で一般販売するわけではない。
このように、発表された4つのアナウンスすべてがディープラーニングに関係しており、基調講演はディープラーニング一色だった。
