業界共通のHadoopコア構築、Cloud Foundryやアジャイル支援など2015年事業戦略
Pivotal、ビッグデータ基盤製品の全面オープンソース化へ
2015年03月16日 06時00分更新
商用PaaS基盤「Pivotal Cloud Foundry」などを提供するPivotalジャパンは3月12日、2015年の事業戦略説明会を開催した。新たにビッグデータ処理基盤スイートの国内提供開始とオープンソース(OSS)化、Hadoop関連技術の共通化に向けたアライアンスなどを発表している。
ビッグデータ処理/解析基盤製品をオープンソース化
「Pivotal Big Data Suite」は、ビッグデータ処理とアナリティクスのサービスを提供するソフトウェア群をまとめた、商用の統合スイート製品。Pivotal Cloud FoundryのPaaSに、商用Hadoopディストリビューションの「Pivotal HD」、DWHの「Pivotal Greenplum Database」、SQL on Hadoop分析エンジン「Pivotal HAWQ(ホーク)」、NoSQLインメモリデータベース「Pivotal GemFire」などのビッグデータ関連サービスを統合して提供する。
さらにPivotal HAWQ、Pivotal Greenplum Database、Pivotal GemFireのOSS化も発表された。今後、2015年内をめどに、Big Data Suiteに含まれるすべての製品を順次OSS化していく。これらのOSS版も基本的にすべての機能を備えるが、商用版ではさらに独自の上位機能を実装するとともに、商用サポートが提供される。
戦略説明会に出席したPivotalジャパン カントリー・マネージャーの正井拓己氏は、今回のOSS化の背景を「Cloud FoundryにおけるOSS化の成功モデルを、ビッグデータ領域にも展開するもの。OSS化は、業界横断型の強力なエコシステムを構築していくための最も効果的な手段だ」と説明した。
また、Hadoop/ビッグデータの普及促進を図る業界団体、「Open Data Platform(ODP)」の結成も発表されている。Pivotalのほか、ゼネラル・エレクトリック(GE)、ホートンワークス、IBM、インフォシス、SASなどを中心としたメンバー企業で構成される。
Pivotalジャパン テクニカル・ディレクターの仲田聰氏によれば、ODPではHadoopコアコンポーネントの共通化に取り組み、この共通コア(ODPコア)をベースに各社が独自機能/アプリケーションを付加していくという。同社のPivotal HDも、2015年中にはODPコアベースのディストリビューションになる予定だ。
「従来は、あるHadoopアプリケーションがどのHadoopディストリビューションで動作するか、1対1で認定していく必要があった。ODPコアを用意することで、ODPコア対応アプリケーションならばどのディストリビューション上でも動作する環境が生まれ、導入コストやスピードのメリットが生まれる」(仲田氏)
商用版Cloud Foundryに注力、企業のアジャイル開発支援チームも
Pivotalは、ビッグデータ領域に加えて、クラウド領域、アジャイル開発領域という3つの事業ドメインを持つ。戦略説明会では、残る2領域についても2015年の方向性が示された。
クラウド領域では、昨年12月にCloud Foundry Foundationが設立され、オープンPaaSを中核として、EMCやヴイエムウェア、IBM、SAP、インテルなどが参画する大規模な業界エコシステムが構築された。
正井氏は、2015年のPivotalでは商用版Pivotal Cloud Foundryの販売に「最も力を入れていく」と述べた。グローバルではすでに40社以上の導入事例が生まれており、国内でも製造業向けIoT分析基盤、各種業界での次世代Web基盤、PaaSプロバイダー向け基盤などでの利用拡大が期待されるとしている。
一方、アジャイル領域では、企業のアジャイル開発導入に関するコンサルティングやサービスの専門チーム「Pivotal Labs」を、2015年中に東京にも開設する予定であることを明らかにしている。