インテルの世界はまだまだ拡がる
現在最先端となっている14nmのプロセスの次には、10nm、そして7nmへと進化が続く。半導体の進化にはまだ限りがない。そして、インテルはその実現に向けて、毎年、200億ドル規模の研究開発投資(販管費を含む)、100億ドル規模の設備投資を続けている。
阿部副社長は、「いまや14nmといっても、各社によってサイズはまったく異なり、世代を指すだけのものになっている」と前置きしながら、「10nmの量産化は難しいのではないかという声もあるが、鍵となっていたEUV(極端紫外線)露光システムがコンスタントに長い時間、使えるめどがついてきた。これはグッドニュース。まだまだ改良が必要だが、ここには日本の企業の先端技術が多数活用されている」とする。ムーアの法則はまだまだ続くことを裏づけてみせる。
そしてもうひとつの目的である「インテルアーキチクャーの拡大」という点では、「用途の拡大を提案し、インテルが持つ半導体を中心とした製品を広く展開していくことになる」と、江田社長は説明する。
IoTへの積極展開や、ソフトウェア事業によるソリューション提案も、インテルアーキチクャーの拡大という文脈のなかで捉えると、確かに自然だ。
「インテルアーキテクチャーの用途をパートナーとともに一緒に開拓していく。そのためには、パートナーの戦略的連携も行っていく。ウェアラブルやヘルスケア領域、車載領域など、それぞれのセグメントでニーズを作っていくのもインテルの重要な仕事」とする。
垂直統合が持つ力
そうしたなかで重要な役割を果たすのが、IDM(Integrated Device Manufacturer)によるビジネスモデルの採用である。IDMは、CPUの開発、製造、販売までを1社で行う垂直統合型モデルを指す。
阿部副社長は、冗談交じりに、「IDMは、もっともおいしいラーメンづくりをするのと同じこと」と比喩する。
「サーバーのような最新速度を要求する環境でのニーズと、IoTのように広がり優先した環境でのニーズでは求められる製品が大きく異なる。プロセスをスープ、アーキテクチャーを麺とすれば、『とんこつスープに細麺』という最適な組み合わせを提供できるのは、IDMによるもの。ファブレスとファンダリーによる水平分散の作り方では、設計と製造に距離があり、スープと麺のベストマッチは実現できない」
インテルアーキテクチャーの拡大のために、最適な製品、ソリューションを提供し続けるには、インテルがIDM体制を維持する現在の基本姿勢は重要だというわけだ。
だが、こうしてみても、いまのインテルという企業を表現するには、どうしても説明調にならざるを得ない。
ここはぜひ、インテル初のマーケティング部門出身社長である江田社長に、しっくりとくる「いまのインテル」を表現するキーワードを考案してもらいたい。
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