このページの本文へ

前へ 1 2 次へ

末岡洋子の海外モバイルビジネス最新情勢 第121回

Ubuntuスマホが初日売切、課題はUbuntuコミュニティー以外の取り込み

2015年02月18日 12時00分更新

文● 末岡洋子

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 Ubuntuスマートフォンがやっと登場した。初のUbuntuスマートフォンを手がけるスペインBQは2月11日、中国Xiaomi(シャオミ)のような”フラッシュセール”販売を展開、予定時刻前に完売となり1分1万2000件の注文があったと報告している。打倒Androidでのろしを上げたのが2013年、2年越しでの製品登場となり戦いはこれからだ。Canonicalはどのような戦略なのか?

ついにリリースされた初のUbuntuスマホ「Aquaris E4.5 Ubuntu Edition」。ネット上で少数の予約を繰り返し受け付けることで、話題性と飢餓感を拡散するシャオミと同じ手法を取っている

足掛け3年以上? Canonicalのモバイルプロジェクト

 どの企業も市場参入に理由があるはずだが、Ubuntuを開発するCanonicalはおそらく、”Me Too”(我が社も)的なものではない。

 2009年秋、ロンドンにあるCanonicalの本社を訪問した。その際広報担当者とUI開発担当者など数人で食事をする機会があったのだが、そのときにモバイル分野の話を聞いた。すでにiPhone旋風の真っただ中にあり、Androidも台頭しはじめた頃だ。

 LinuxデスクトップとしてWindowsに戦いを挑む同社からのキーワードは、”ユーザーインターフェイスを強化していきたい”に合わせて、”仮想化””エンドツーエンドのプラットフォーム”などが挙がった。「(エンドツーエンドに)モバイルも含むのか?」と聞いたところ、「可能性は十分ある」という話だった。おそらく、その時点ですでになんらかの構想があったのだろうと予想する。

 時は下って2012年、Canonicalは「Mobile World Congress」で、AndroidスマートフォンでUbuntu環境を動かす「Ubuntu for Android」をデモした。その翌年になって正式にモバイル向けのプラットフォームとしてのUbuntu拡大を発表した。

 この時点では、端末は「2014年第1四半期」で、その後キャリアから登場するという”2フェイズでのローンチ”を描いていると同社のCEO、Jane Silber氏は語っていた。ちなみに2014年にCanonicalは、Indiegogoで「Ubuntu Edge」というクラウドファウンディングプロジェクトを展開(関連記事)。目標調達額には達しなかったが話題作りという点では成功したとも言える。

クラウドファンディングで3200万ドルが集まれば、Canonical自らが開発予定だった「Ubuntu Edge」

 その当時からメーカーやキャリアと話をしていると聞いていたが、2014年のMWC直前でやっとスペインBQと中国Meizuの2社との提携を発表した。このときは端末の登場は「2014年中」とのことだった。

 そして結局、2015年2月初めの端末登場となる。2月6日にBQとCanonicalは初のUbuntuスマートフォン「Aquaris E4.5 Ubuntu Edition」を発表した。遅くなった代わりというのも変かもしれないが、Canonicalは仕掛けを用意していた――フラッシュセールだ。

Xiaomiに触発された?
フラッシュセール

 端末発表から数日後、BQは2月11日に初回のフラッシュセールを行なった。予定時刻は現地時間で9~18時だったが、開始後約3時間で一旦終了、その約3時間後に再度スタートし6分ほどで売り切れとなった。

 BQもCanonicalも販売台数を明らかにしていないが、BQはサーバーがダウンしたこと、最大で1分に1万2000件の注文があったことなどをツイートしている。ちなみにBQが出荷できるのは欧州連合に加盟する国のみ(よってスイス、ノルウェーなどは含まれない)。つまり注文した人は欧州在住者とみていいだろう。

 このフラッシュセール手法を聞いて、2014年6月のMobile Asia Expoで取材したChristian Parrino氏の言葉を思い出した。Parrino氏はコミュニティーの育成と活用、もっと簡単に言うなら”話題作り”を重視している発言を繰り返していたからだ。

 フラッシュセールは期間が限られているためか、買う/買わないで迷う時間を与えないためか、注文が殺到することが多い。大手ならAmazonが定期的にやっており、ファッションブランド通販のGiltもこの手法で伸びた。モバイル業界ではXiaomiがこの手法で大成功を収めている。BQもツイートで、「フラッシュセールはもともとはCanonicalのアイディア」と書いている。

 BQは12日、売り蹴れを報告するとともに、2月中に次のフラッシュセールを行なうとしている(次週、つまり今週という話もある)。ずっとこの手法を続けるのかはわからないが、SNS上では不満も出ている。必ずしも欧州ユーザーが好む手法ではないのかもしれない。

 なお、Aquaris E4.5 Ubuntu EditionはBQで提供されるSIMフリー版のほか、欧州の4キャリア(スペインのamena.com、スウェーデンの3 Sweden、ポルトガルのPortugal Telecom、イギリスのgiffgaff)がSIMをバンドルして提供する予定となっている。


(次ページでは、「MeizuからはMWCで登場か? スペック的にはミドル~ハイ?」)

前へ 1 2 次へ

カテゴリートップへ

この連載の記事

注目ニュース

ASCII倶楽部

最新記事

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン