すべてがWindowsになると
Windows 10はこうなる
Windows10ではこのあたりが変更されます。まず、みんなWindowsになったのですから、当然ストアは「Windowsストア」になります。最終的な名前がどうなるかは未定ですが、すべてのWindows 10は、1つのストアを使うことになります。
もう1つは、同じWindowsなので、APIなども共通化が図られることです。もちろん、いま使っているPCでいきなり電話できるようになるわけではありませんが、同じプログラムが動作できるようになります。マイクロソフトでは、こうしたWindows 10世代で利用できるアプリを「ユニバーサルアプリ」と呼んでいるようです。ユニバーサルアプリは、ストアアプリの1種になります。
これから考えると、「Windows 10 Phone and Tablet」とは、「Windows 10」からデスクトップUI環境を抜き、タッチ中心のタブレットモードに固定したWindowsだと考えることができます。
2003年にマイクロソフトは次世代のAPIセットとして.NETをベースにしたWinFXを提案しました。本来WinFXは、Vistaの段階でメインのAPIセットになる予定でしたが、開発の混乱などから、VistaではWinFXとWin32 APIの両方が使われることになり、それが現在まで続いています。
もし、Windows 10 Phone and Tabletが、モダンUI環境でのみアプリケーションが動作することになると、WindowsのAPIセットを切り替えるという目標をようやく達成されたことになります。もっとも、こんな話は、古すぎて誰も覚えてはないでしょうし、もしかしたらマイクロソフト自身も忘れちゃっているのかもしれません。
Windows RTに関しては、特に言及はなかったのですが、可能性としては、Officeのユニバーサルアプリ版が付属するというWindows 10 Phone and Tabletにまとめる場合と、Windows RTというブランドを残してWindows RT 10を作る場合の2通りが考えられます。
しかし現在のところ、マイクロソフトのSurface 2を最後に、Windows RT搭載の新規ハードウェアが登場していません。また、マイクロソフトもすでにSurface 2の製造は中止しています。このため、既存ユーザーにどう対応するか? というサポート的な問題と、Windows RTを今後どうするのか? という2つの問題があります。
筆者は、当初、Windows 10 Phone and Tabletにまとめてしまう可能性もあるのではないかと考えていましたが、Windows RT 10が作られる可能性のほうが高いと考えています。確実な証拠にはならないのですが、プレビューとして配布されているWindows 10 ADKには、Windows RTのアップグレードに関する記述があります。
これによると8.1のときと同じく、Windowsストア経由でアップグレードが可能になるようです。Windows 10 ADKとは、企業内などで、独自の変更を加えたインストールイメージなどを作成するツールです。現行のWindows RTが何にアップグレードされるのかは記述されていませんが、Windows 8.1と並置されているところを見ると、Windows 10と同等なものである可能性は低くないと思われます。
もう1つ気になるのは、Windows with BingとしてタブレットなどにインストールされてきたWindows 8.1のアップグレード先です。1月21日の説明会では、Windows 10とWindows 10 Phone and Tabletの境界は画面サイズが8インチ以下かそれ以上かという部分にあります。
実際、Windows 8.1を搭載している8インチクラスのマシンがあり、これらがどうなるのかが気になります。また、マイクロソフトは、ライセンス料がゼロとなるWindowsについて、9インチ以下と言っていましたが、実際には、10インチでもWindows with Bingを搭載したマシンがあり、画面サイズによる区別はかなり曖昧でした。
それを考えると、新規に登場するマシンに関しては、8インチという区別も曖昧なものになる可能性があります。ライセンス料が無料なので、アップグレードがどうなるかは、マイクロソフト次第です。なので、Windows 10 Phone and Tabletがアップグレード先になる可能性がないとは言い切れません。
Xboxでも動作するという
ユニバーサルアプリとは?
昨年5月の発表時には、「ユニバーサル・ウィンドウズアプリ」と言っていたので、微妙に呼び方が変わっています。これには理由があります。マイクロソフトは、昨年末に次世代の開発環境に関する発表を行っていて、そこで、サードパーティの開発ツールなどを組み合わせることで、ユニバーサルアプリをアンドロイドやiOSでも動作できるようにするといった方向性が示されているのです。
ユニバーサル・アプリといった呼び方は、Windowsで「ユニバーサル(一般的)」であるだけでなく、他のプラットフォームに対しても「ユニバーサル」なのです。
このため、Xbox OneもWindows 10のタイミングでシステムが更新される可能性があります。昨年のBuildで「ユニバーサル・ウィンドウズアプリ」が発表されたときには、Xbox Oneも対象になっていましたが、実際には、まだ、Xbox Oneでは「ユニバーサル・ウィンドウズアプリ」を使える状態にはなっていません。
というのは、Xbox用のアプリを開発してストアに登録するためには、マイクロソフトとゲーム開発のライセンス契約が必要なため、Windowsストアアプリなどと違って敷居が高いのです。マイクロソフトもXbox Oneでの展開は限定的としており、Skypeなどのマイクロソフト製のWindowsストアアプリが利用できる程度です。技術的には不可能な状態ではないのですが、「門」が閉まっている状態です。
Windows 10には、Xboxアプリが付属し、Xbox Liveの機能を利用できるようになります。また、Windows 10用のゲーム向けにXboxのみが持つAPIなどが解放され、PCとXboxの間でプレイ可能なマルチユーザーゲームの開発が可能になるといいます。
バイナリというかパッケージとしては、Xbox用とWindows 10用は別になりますが、同じAPIを使うことはできるようです。これを考えると、Windows 10のタイミングで、Xboxのシステムも更新が行われ、ユニバーサルアプリが動作したり、Windowsと同じ「ストア」が利用できるようになる可能性はあるでしょう。
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