「奥行きのある構図が好き」
しばらく一緒に歩いていると、かんちゃんがカメラを構えるポイントもなんとなく分かってきました。一直線に伸びた道やトンネルのような景色など、奥行きのある風景に惹かれることが多いようです。
「確かに……初めて気付きました。奥行きがすーっと出てる景色、好きなんです。吸い込まれそうな感じが好きなのかな。絵の中に引きこまれていきたい、みたいな気持ちがあるのかもしれないです。
さっき言ってた空と地面のバランスとか、こういう風景で一番気にしますね。同じ場所で何枚か撮ったりもするんですけど、一番気に入った写真を選んで、あとは消しちゃうことが多いかなあ。そういうところはサバサバできるんですけど、いつもはけっこう優柔不断です(笑)」
そんなかんちゃんの様子を見ていたカメラマンの鎌田さん。写真の出来栄えに感心したようで、こんなコメントをしてくれました。
「かんちゃんの写真は天地の切りがすごくいいんです。建物でも、全体を写そうとするんじゃなくて、かなり思い切りよく切っていますよね。シブいというか、面白いセンスだと思います。それと、意外とカメラをまっすぐに構えるのって難しいんですよ。センターからきちんと撮るって、なかなかできない」
プロカメラマンのお墨付きをもらって、かんちゃんも喜んでいました。
撮る側と撮られる側、どっちもこなせたら
次々と町の風景を写真に収めていくいくかんちゃんですが、今回のロケは自分で写真を撮るだけではなく、アーティストとして被写体にもならなければいけません。
意識の切り替えなど、苦労はあるのでしょうか。本人に訊いてみました。
「共通の意識としては、撮るときも撮られるときも、ナチュラルになるように心がけてます。でも、どっちかというと自分で撮っているときのほうが好きなんです(笑)。
もちろん撮ってもらうのも好きなんですけど、まだまだ『ああしたらいいのかな、こうしたらいいのかな』って自分の中で迷ってしまうところがあって、もっと経験を積まなきゃなって思います。たくさん勉強して、撮ると撮られる、どっち側もこなせる人になれたらかっこいいですよね」
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