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レアアースなどの自然元素をはるかに超える高い磁性により各種用途に利用できる可能性

九州大など、世界最高の磁性を持つ鉄原子42個クラスター分子を合成

2015年01月07日 19時46分更新

文● 行正和義

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(a) Fe42核ナノクラスター分子の結晶写真(立方体構造)。(b)大型放射光施設SPring-8による単結晶構造解析で明らかとなったFe42核ナノクラスター分子の分子構造図

 九州大など複数の大学からなる研究グループは、鉄原子42個がかご状に組み上げられた磁性ナノクラスター分子を開発、分子構造と電子構造を解明した。

 これは九州大学、大連理工大学、高輝度光科学研究センター、熊本大学、九州工業大学、大阪大学、東北大学などの研究グループによる共同研究プロジェクト。近年、分子エレクトロニクスの実現に向け、人工的に磁性分子を合成して巨大なナノスケール磁石を作る競争が世界的に進められているが、今回合成された分子は1分子が持つ磁性としては世界最高の90ボーアという磁性が確認されたほか、また、X線構造解析により合成磁性ナノクラスター分子がナノメートルサイズの中空カゴ状構造をもつことを明らかにした。

磁性をもつ18個の3価のFe原子(橙色の丸)が形成する中空構造の多面体の模式図

 人工的に合成された分子は鉄原子42個がカゴ状に組み合わさったもので、鉄原子と鉄原子はシアノ基(CN)で架橋。磁性を持つ(高スピン状態)鉄原子18個と非磁性(低スピン状態)鉄原子24個が最適配置に組み合わされたことで全体としては磁石の向きが揃い、分子全体としては非常に強い磁性を持つ。合成された物質は立方体の結晶構造となる。

Fe42核ナノクラスター分子の磁気特性と原子磁石の配置の模式図

 自然に存在する物質のなかでは強磁性を持つレアアース元素(ジスプロシウム)でも1原子で最大10ボーアなのに対し、その9倍もの磁性をレアアースを使用することなく実現できることにより、ありふれた元素(鉄/炭素/窒素)を用いて強い磁石を製造できる可能性がある。また、その高い磁性により磁気記録媒体をさらに高密度にできる可能性、さらにはカゴ状構造に他の物質を閉じ込めて磁力で誘導したのち放出させる医学的(ドラッグデリバリー)な応用にも期待できるという。

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